【お薦め本の紹介】あの国の本当の思惑を見抜く 地政学

【お薦め本の紹介】あの国の本当の思惑を見抜く 地政学

現在の国際紛争の原因は、地政学における海洋国家と大陸国家間の関係を知ると恐ろしいほど理解できてしまいます。どんな政治的対立、思想的対立も時代とともに変わってきましたが、海洋勢力と大陸勢力の対立は不変なようです。もし我々が将来戦争のない世界を作ろうという国際連盟の理想を貫徹したいならば……地理的な事実をよく 弁えた上で、これらの影響に対処する方策を考える必要があるのです。

  • 地理は、国際情勢における重力のようなものです。
  • 地理とは外交政策において最も基本的な要素である。なぜなら地理は不変だから
  • ある国の地理を知ることは、その国の外交政策を知ることである。
  • 世界は海と陸で二分されています。この事実が、世界の国々を海洋国家と大陸国家に分けています。これは、地政学において最も重要な視点です。
  • 海洋国家は海との関わりが強いイギリスや日本、アメリカのような国で、大陸国家は陸との関わりが強いロシアや中国、ドイツのような国を指します。
  • 日本だけではなく、アメリカは全世界 70 か国以上に、合わせて800か所もの基地をくまなく置いています。
  • アメリカの軍事費は1年あたり100兆円以上、世界全体の軍事費の約4割を占め、中国の軍事費を3倍以上で 凌駕 しています。
  • 勢力均衡を全世界規模で保つために大事なのは、1つの国が強くなりすぎないようにすることです。
  • 国家は本来、自らを守ることにしか関心がありません。戦争を起こす国が決まって「これは防衛戦争である」と宣言するのも、その国は本当に自国の防衛にしか関心がないからです。
  • 北朝鮮の真の恐ろしさは軍事力ではなく、行動が予想できないところです。
  • 安全保障のジレンマに最も長期的かつ、はっきりと影響を与える要素が「地理」です。地理は兵器や政治体制とは違って、時間をかけても変わりません。
  • 攻撃・防御有利性に影響を与える主な地理的要素は次の3つに大別できます。  ①距離  ②地形  ③海
  • ロシアの一番の武器は、核ミサイルや戦車隊ではなく、ドイツやフランスなどのヨーロッパの大国から首都モスクワが1600㎞以上も離れている地理的事実です。
  • 他国と距離をとるもう1つの方法が、緩衝地帯です。 緩衝地帯とは、国と国の間に位置する、どちらの国の領土にも含まれない地帯のことです。両隣の2国が直接国境を接しないようにする役割を果たします。
  • 特に今日の北朝鮮は、中国と韓国を物理的に隔てることで、中国軍と米軍が直接接することを防いでいます。
  • 陸に対し、 海の防衛力は格別に高く、海と陸の区分こそが国際情勢を理解する上で最も重要である
  • 大国が大国を侵略できた事例は数え切れないほどあれど、 海を越えて大国を侵略できた事例はほとんどありません。
  • 「海が防御有利」「陸が攻撃有利」の違いは、「海と陸」という二項対立で世界情勢を大きく方向づけます。
  • 島国ではありませんが、アメリカも海洋国家に分類されます。アメリカは南北アメリカ大陸で唯一の大国であり、どの国からも陸伝いで脅威を受けないため、国防を主に海軍に頼るからです。
  • 大陸国家の代表例はフランス、ドイツ、ロシア、中国です。
  • モンゴル帝国は4000㎞離れたロシアを征服できても、200㎞の対馬海峡を越えて日本を征服することはできませんでした。
  • ドイツは1500㎞離れたロシアに2000両の戦車を送れても、 30 ㎞のドーバー海峡の向こうのイギリスには1両の戦車も送れませんでした。
  • 2014年からのウクライナ情勢は、この典型例です。ウクライナはNATOとロシアの間に挟まる緩衝国です。
  • ギリスは島国だったおかげで、フランスやドイツなど強力な大陸国家と陸軍力で 対峙 する必要がありませんでした。 そして、陸軍力に国力を消耗しなくて良い分、海軍に集中できました。
  • イギリスやアメリカのような海洋国家の強さを真に支えるのは「強い海軍」ではなく、「強い陸軍を必要としない環境」なのです。 アメリカが持つ最大の武器は海軍ではなく、「海そのもの」ともいえます。
  • アメリカがユーラシア大陸に基地と同盟国を多数配置するのは、ロシアや中国のような潜在覇権国がユーラシア大陸を一挙に支配しないようにするためです。
  • 本的な構造は、大陸を制覇したい潜在覇権国に対して、海洋国家が大陸諸国と対抗連合を形成してそれを阻止する、というものです。
  • どんな政治的対立、思想的対立も時代とともに変わってきましたが、海洋勢力と大陸勢力の対立は不変です。
  • 戦略的重要性から、 ロシアが日本に北方領土を返還する可能性は、今後もかなり低い
  • ロシアが2022年からのウクライナ戦争で犯した失敗は、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟を促してしまったことです。
  • ロシアが持つ最大の武器は何か。 それは陸軍でもなく、海軍でもなく、はたまた核兵器でもなく、天然ガスと石油かもしれません。
  • 現在の中露関係はかつてないほど良好です。 それでも日米関係のような同盟までは結んでいません。
  • 中国にとっての台湾は、アメリカにとってのキューバのようなものです。
  • 逆に、中国が台湾を自らの手に収めれば、第一列島線を一気に破ることができます。
  • 「相手も自分を恐れている」という視点が欠けると、「自分は正義で相手は悪だ」という結論に行き着きます。
  • 「戦争をしない」ことは、「戦争に備えない」ことを意味しません。
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