本の中の、『かつて「お客様は神様です」という言葉があったが、 労働供給制約社会においては、「働き手が神様」になる』、はまさに医療・介護の現場ではすでにおこっています。権利を主張して、無理難題をいうご家族には、利用をご遠慮いただくこともやむを得ません。
- 2040年に1100万人の働き手が足りなくなる なかでも最も懸念されるのは、私たちの生活を支えている「生活維持サービス」の水準低下、そして消滅の危機である。
- 業種別の労働需給シミュレーションの結果を見てみると、2040年には介護サービス職で 25・2%、ドライバー職で 24・1%、建設職で 22・0% が不足する
- 私たちはみな、他者の労働を消費している。人はほかの人の労働や仕事に頼ることができないと、生活だけで精一杯になるのだ。
- 必要な働き手の数を供給できなくなる「労働供給制約社会」は、いわば「みなが無人島に住むような」社会だ。
- 労働供給制約下の日本は、じつはさまざまな新しい可能性に満ちあふれる社会になるかもしれない と考えている。
- 1990年代以前の人手不足論には好業績、好景気がペアになっていた
- 景気はたいしてよくないのに人手が足りない
- 今起こっている、これから起ころうとしている「人手不足」は、これまでの「人手不足」ではない。
- 以下のような問題が早晩、顕在化するだろう。 給料をいくら上げても必要な人を採用できない ● 採用するのに必要なコストが高くなりすぎて、必要な生活維持サービスが廃止される ● 同様に、多くの生活維持サービスが水準を低下させざるをえなくなる ● 必要な人手が足りないために、廃業せざるをえない企業が増える
- 日本における高齢者の労働参加率は伸長しており、 70 歳男性でも 45・7% と約半数が働くようになった。 65 歳以上の男女合わせても就業率は 25・1%(4) と国際的に極めて高い水準にある(日本のすべての 65 歳以上のうち、4人に1人以上がすでに働いているということだ)。
- 日本の労働力率は先進国ですでにトップクラス
- 男性、女性ともに一定程度高い労働力率となっている。とくに 30 ~ 44 歳女性では 77・3% から 84・2% へと急激に上昇することを見込んでいる。
- 主要先進国の中で比較すると、日本の労働力率は高い水準にある
- 新潟県と京都府について共通して言えるのは、「一定の経済規模があり、観光や製造業などの〝外向けの産業〟がありながら、住民の生活維持サービスにも人材を供給しなくてはならない」という難しさだ。
- 「鉄道の運転士は自動化でなんとかなるかもしれないが、最大の問題は保線作業員や電車の整備、駅の管理を担うスタッフの確保です。鉄道の運行に必要な人員の4分の3はこうした作業員や整備士
- 荷物が届くかどうか」が、人が住める地域を決めるように。日本の4分の1の地域は事実上、荷物の発送も受け取りもできず、居住不可能になる。
- 2040年にかけての日本の人材採用を端的に表す言葉は「今が一番人材を獲得しやすい」になるだろう。
- 仕事はあるが、人手がいないため断らざるをえない。そんななかで必要な人手を求めて地域の企業同士が破格の待遇で数少ない人手を奪い合っている
- 〝労務廃業〟という言葉は、仕事はあるのにそれを受ける人手がおらず、継続が難しくなる地域の生活維持サービスの状況を言い表す言葉
- 日本経済はますます減少していく貴重な労働力を医療・介護業界に無尽蔵に使わざるをえない状況になる。
- 日本の人手不足の議論において、必ず出てくる3つの解決策がある。それは、シニア、女性、外国人である。これを私は「人手不足対策の三種の神器」と呼んでいる。
- 日本の女性の就業率は近年、国際的水準に迫っている。
- 日本のシニア就業率は世界で断トツ シニアもすでに世界最高水準の就業率となっている。
- ワーキッシュアクトというのは、娯楽や趣味・コミュニティ参加のような本業の労働・仕事以外で、「誰かの困りごとや助けてほしいという需要に応えている」活動を指す。
- 介護に関しても同様に、間接業務の自動化から進んでいく。ただし、三大介助業務と言われる食事介助、排泄介助、入浴介助などの介護従事者の本来業務は、ゆるやかな省人化が進みつつも、根本的に無人化されることは将来においてもありえないだろう。
- オムツ回収ボックスで、排泄後のオムツを入れてボタンを押すと自動的に熱圧着で個包装され、ボックス内に格納できる。 「オムツを新聞紙やビニール袋で包んで居室から汚物室まで運び、またもとの居室に戻るという一連の作業に負担を感じるスタッフは少なくありません。
- 介護現場には、利用者のレクリエーションの企画や準備・運営、利用者との雑談、施設のホームページの作成・運用など、必ずしも介護福祉士がしなくてもいい業務がたくさんある。
- 無償だとどんどん担い手がいなくなる
- たとえば、「飲食店で飲み物はセルフサービス」となった場合に「確実に以降の来店をやめる」と答えた回答者は、じつに1・6% に過ぎなかった。
- 「おもてなし」と考えられてきたが、消費者側はあまり気にしていないのかもしれない。「コンビニエンスストアの 24 時間営業」についても、「必要」と答えた人は 30・2% で、「必要ない」は 69・8% であった
- 生活する場所として魅力がない日本は、働く場所としても選ばれず、外国人も寄り付かず、著しい人手不足なのに、労働者を送り出す国の一つとなっている。