先日、池井戸潤さんの『七つの会議』を読みました。
『空飛ぶタイヤ』『下町ロケット』と同様に、一気に読んでしまいました。
内容はあえて紹介しませんが、文中、登場人物が吐いたセリフを読んでいるだけで、勉強になります。
【赤字は私のコメントです】
「会社にとって必要な人間なんかいません。
辞めれば、代わりを務める誰かが出てくる。
組織ってそういうもんじゃないんですか」
・・不思議なものです。組織が苦手な人間が創業するわけですが、結局組織を作り上げるのです。経営者からすれば、誰か一人に依存するような組織は許せないわけです。
「会社なんてどこも同じだ」八角は断言した。
「期待すれば裏切られる。その代わり、期待しなけりゃ裏切られることもない。出世というインセンティブにそっぽを向けば、こんな気楽な商売はないさ」
・・経営者として、こういう人が増えるのが最も困るのです。しかし、こんな従業員がいても利益が出せる組織は、ある意味凄い仕組みだと思います。
「仕事っちゅうのは、金儲けじゃない。人の助けになることじゃ。人が喜ぶ顔見るのは楽しいもんじゃけ。そうすりゃあ、金は後からついてくる。客を大事にせん商売は滅びる」
・・医療介護事業をやっていていつも感じることがあります。お金をいただく立場でありながら、相手から“ありがとう”と言われのです。仕事によっては、殆ど“ありがとう”を言われない仕事もあります。それだけでも、医療介護業界と言うのは恵まれていると感じます。感謝です。
「追い詰められたとき、ひとが変わる。自分を守るために嘘も吐く。あんただって、プレッシャーに負けて不正を許容した。同じことなんじゃないのかよ。誰にだって、苦しい事情ってのは存在するんだよ。だけど、そんなのは不正の理由にならねえ」
・・確かにこの通りかもしれません。経営者としては、“追いつめられないこと”が大事だと思います。決して、“命運”をかけるようなことはしてはいけないのです。常に前もって準備・聞きな管理をすることが重要です。
どうしてもサラリーマン目線でなく、経営者目線で読んでしまいました。
いずれにせよ、東日本大震災後、日本人全員に希望を与えてくれた『下町ロケット』の著者が、一転して警句を放ったともいえます。
経営者は、心して読みたい一冊です。