先日、歯科関係の学会で90分のオンライン講演をさせていただきました。その際に、二宮金次郎さんの「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉を紹介したところ、とても反響をいただきました。
そんな中、日本経済新聞で小泉進次郎さんが座右の書として、猪瀬直樹さんの「二宮金次郎はなぜ薪を背負っているのか? 人口減少社会の成長戦略」を紹介されていました。
早速、読んだところ、現代にも通じる二宮金次郎さんの背策に感動・感動・感動です。多くの方に一読されることをお薦めします。一部をご紹介します。
- 飯を炊き風呂をわかす薪や料理や火鉢に使う炭代を計算してみると家計費の一四・二パーセントを占める。現代は、光熱費の消費支出に占める割合は六・六パーセントになる。自給自足に思われがちな江戸時代のほうが燃料コストが高いのだ
- 金次郎は薪を売って得たカネを、同僚や友人知己に利息をとって貸し付けはじめ、やがて、金次郎ファンドとでもいうべきシステムとしてつくり上げる。
- 年利八パーセントほどだ。当時の金利は一〇パーセントから二〇パーセントが一般的だったので、金次郎が取った利息はかなり低い。この低金利融資がのちに金次郎の武器になっていく。
- ロックフェラー財閥を一代で築き上げた恐るべき少年は一八三九年生まれである。金次郎が「日記萬覚帳」をつけはじめたのは一八〇五年だった。
- 小地主であり、貸し金業であり、賃労働で給金も得た。三倍の能率で稼いだのである。
- 金次郎の本質は、コスト削減によって生じた余剰をどう活用するか、にある。
- 「分度」という禁欲は、倹約とは逆だ。支出を明確にするからこそ、余剰資金は投資と運用にあてられるのだ。
- 金次郎の金融モデルを解釈しなおすと、「貸す」発想から「返済させる」発想へのパラダイム・チェンジがあったといえる。返済された資金は利益として滞留することなく、つぎの投資へと回された。
- 生産機能だけでなく、商社機能を併せ持たなければ経営は成り立ちにくい、と金次郎は考えた。
- 報徳仕法はそれらすべてを統合した攻めの富国論だった。農業でありながら工業の要素と商業の要素を一体として生きたのである。
新聞で紹介されたためか、アマゾンでは中古品が高くなっています。kindleであれば定価で購入可能です。