血糖値スパイク(=食後高血糖)をもつ総合内科専門医として、令和2年4月からリアルタイム血糖値測定器「フリースタイルリブレ」を装着しています。そのため、食品選びの際は、血糖への影響を気にしています。そんな中で、有効なものにヨーグルトがあります。「フリースタイルリブレ」については以下の記事も参考になさってください。
目次
1.ヨーグルトを食べると糖尿病リスクが低下。研究結果は?
ヨーグルトが糖尿病のリスクを減らす研究結果が報告されています。
1-1.ハーバード公衆衛生大学院栄養学部の調査
10万人以上を対象に調査を行った調査によると、ヨーグルトを毎日食べていると、2型糖尿病を発症するリスクが18%減少するという結果になりました。なお、ヨーグルト以外の乳製品では、糖尿病リスクとのあいだに相関関係はみられなかったようです。
1-2.英国のケンブリッジ大学の研究
男女3,500人を11年間追跡して調査し、食事と糖尿病の発症との関連調査におると、ヨーグルトや低脂肪の乳製品を週に4~5回食べると、2型糖尿病のリスクを低下できることがわかりました。研究チームは、低脂肪の乳製品を種類別に調べたところ、ヨーグルトのみを食べていた人では、糖尿病リスクは28%低下したことが判明しました。ただし、糖尿病のリスク低下と関連があったものは、乳製品の中でも、低脂肪製品に限られており、牛乳や高脂肪のチーズなどには、糖尿病リスクの低下の効果はなかったようです。
2.ヨーグルトの何が効果?
ヨーグルトの何が、糖尿病発症に効果があったのでしょうか?
2-1.GLP-1の分泌刺激
ヨーグルトには、乳清タンパクという栄養成分が含まれています。「乳清タンパク」は乳酸菌発酵液のことで、ヨーグルトの上澄みに含まれています。炭水化物を食べる前に、乳清タンパクを摂取すると、インスリン分泌を刺激するGLP-1の分泌が刺激され、食後の高血糖を抑えることが報告されています。
*GLP-1:=グルカゴン様ペプチド-1、食事をすると小腸から分泌され、インスリンの分泌を刺激する働きがある。
2-2.腸内細菌の改善
米国ジョンズホプキンズ大学からの研究報告では、腸内細菌は肥満とインスリン抵抗性の発現に関与していることを示しました。ヨーグルトは整腸作用のある「プロバイオティクス」を含んでおり、腸内細菌による有害物質の産生を抑え、インスリンの抵抗性を改善します。
*インスリン抵抗性:すい臓からインスリンが血液中に分泌されていても肝臓、骨格筋、脂肪組織でのインスリンに対する反応が鈍くなっているために、インスリンの血糖を下げる働きが十分に発揮されない状態
3.効果的な摂取方法は
具体的なヨーグルトの摂取方法としては以下の方法がお勧めです。
3-1.朝食に
私は、朝食には糖質は不要と思っています。しかし、何も食べないと排便習慣に悪影響を及ぼします。そのため、糖質を上げないで腸管に刺激を与える食べ物としてヨーグルトは理想的です。朝食に糖質がいらない理由については以下の記事も参考になさってください。
3-2.食事の前に
ヨーグルトの効果の一つに、GLP-1の分泌が刺激があります。そのため食事の前にヨーグルトを食べることで、インスリンの分泌をスムーズにすることが期待されます。
3-3.間食の代わり
過去の報告では、「高カロリーのポテトチップやスナックの代わりにヨーグルトを食べていた人では、糖尿病リスクは47%低下」というものがあります。食事の間に、空腹感を感じた場合は、ヨーグルトで代用することが有効です。
4.食べるなら低脂肪ヨーグルトを単独で
ヨーグルトを食べる場合は、糖分がたくさん加えてあったり、脂肪分が多いものは避けてください。せっかくの効果が期待できなくなります。その他にも血糖に影響を与える、蜂蜜やジャムを加えることも避けたほうが、ヨーグルトもメリットを享受できます。
5.まとめ
- ヨーグルトは糖尿病のリスクを減らします
- 摂取方法としては、朝食の代わり、間食の代わりが理想です。
- せっかくのヨーグルトの効果を得るには、無糖・低脂肪のものを選び、蜂蜜やジャムを加えることも避けましょう。