【お薦め本の紹介】先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち

【お薦め本の紹介】先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち

金間大介さんの「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」という、衝撃的な題名につられて購入。読めば読むほど、「いい子症候群」の若者たちのことが理解できます。「いい子症候群」の前提は、日本国が豊かであることです。これから訪れる乱世では、生き残るのは難しいのではと、心配になってしまいました。

  • まず驚くのは、「当てられる」が嫌いな講義第1位となっていることだろう。
  • 大事なのはあくまで匿名性であり、つまりは目立たないことが重要
  • 10年ほど前、講義の後のちょっとした流れで学生に怒られたことがある。それが本章のタイトルでもある「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」
  • 人前でほめるくらいなら何も言わないでほしいと学生が願う背景には、2つの心理状態が関係していることがわかってきた。1つ目は、自分に自信がないこととのギャップだ。2つ目は、ほめられた直後に、それを聞いた他人の中の自分像が変化したり、自分という存在の印象が強くなったりするのを、ものすごく怖がる。
  • なお、彼らにも承認欲求はちゃんとあるので、人前じゃないところでほめられることは原則として好意的に受け取る
  • 現在の大学生の半数は、単純な一律分配が最も公正だと考えている
  • いい子症候群の若者たちは、とにかく差がつく状況が苦手であり、特に過敏に反応するのが「自分だけが何らかの利益を得る」状態
  • いい子症候群の若者たちは自分で決めるのがとても苦手だ。特に他人がかかわることになると、自分が決めることは恐怖でしかない。何かを提案するなんてもってのほか
  • いい子症候群にとって、ものごとの決め方は次の3とおりに分類さ ・誰かに決めてもらう ・例題にならう ・みんなできめる
  • 「もっと自分の頭で考えろ!」  ……大変申し上げにくいのだが、そのお叱りはほとんど無意味だ。 あなたは 自分の頭で考える例題 を示してあげていないのだから
  • 一方通行型メディアの問題点は「消費者が受け取った情報を自分で解釈しなければならない」ことだ
  • SNSに投稿されている消費体験やインフルエンサーの情報は、こちらに球を投げかけてこない。いったん持ち帰り、熟慮し、自分で意思決定せよ、のプロセスがない
  • ものごとが決められない現在の若者たちは、その代わりに究極のしてもらい上手だと筆者は感じる。
  • 要するに、素直でまじめないい子オーラを放つ以外、何もしない これで大人は全部やってくれる
  • 大学の、特に演習やゼミ活動などにおける最も苦手な手続きとして、自己紹介を挙げる学生は少なくない
  • 今の若者は、子どものころからすでに「演じる」という高度なコミュニケーション力を身に付けており、大学生になるころには演技力はかなりの水準に達している
  • 現在の大学生の多くは、やりたい仕事や働きがいを、安定の対極にあるものと捉える傾向にあるのだ。
  • 主体性は、いい子症候群の若者にとって最も忌み嫌う要素
  • 仕事や職場の人間関係を重視するようになったのではなく、断るだけの意志がなく、かつ最近の飲み会の多くはお客様モードでいられるから参加する
  • いい子症候群の若者にとっての社会貢献とは何か。それは、誰かに「貢献する舞台」を整えてもらった上での貢献を意味する。責任を取る誰かがいて、調整してくれて、意思決定もしてくれて、その上で自分らしさを発揮するお膳立てをしてもらってからするのが社会貢献。
  • 今の若者は、何らかの形で数値化されたり、他人から評価されたりすることに対して総じて自信がない。逆に、他者と比較できないもの、自己完結できるものには(なぜか)ある程度自信があるようだ。
  • 日本人は、全体的に挑戦することや自己主張することを避けるようになってきている。まるで国民全体が指示待ちしたがっているよう
  • 私が考えるいい子症候群の最大の課題は、彼ら自身は単体で何の付加価値も生まないことだ。リモート化された向こう側で、ただ指示を待つ。リアルな現場にいればまだ「同調する」という 仕事 があったが、それすら失わている。
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