血糖値スパイク(=食後高血糖)をもつ総合内科専門医として、令和2年4月からリアルタイム血糖値測定器「フリースタイルリブレ」を装着しています。そのため、食品選びの際は、血糖への影響を気にしています。
私は、自著「一生使える脳」の中でも、認知症予防のために、玉子の摂取がお薦めであると紹介していました。そんな玉子が、認知症予防だけでなく、糖尿病のリスクを減らすこともわかってきたのでご紹介します。
目次
1.心血管疾患及び糖尿病のリスクに関連する玉子の消費
2013年に英国の専門誌『Nature』に掲載された論文では、玉子をたくさん食べると糖尿病のリスクが42%減ると報告されています。医学論文が掲載される専門誌には、相当のレベル差がありますが、その最高峰であるNatureに掲載された内容は信ぴょう性が高いと思われます。
2.すべてに代謝経路にたんぱく質が関与
なぜ、玉子を食べると糖尿病のリスクが減るのでしょうか?人間の体には、栄養素をエネルギーの変える代謝があります。そのすべての代謝過程において、たんぱく質が関与します。その中で、何か一種類でもたんぱく質が欠けると代謝経路がスムーズに働きません。したがって、糖質を減らすだけでなく、身体に必要なたんぱく質を摂取することが重要なのです。
3.玉子は、完全栄養食
たんぱく質の元である、すべてのアミノ酸を人間は作ることができません。そのため体外から摂取する必要があります。その中で、玉子は、必須アミノ酸をすべて含む、理想的なアミノ酸組成をもつ完全栄養食です。これだけの栄養素が含まれている食品は、ほかに見当たらないでのです。
*必須アミノ酸:たんぱく質を構成している20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と呼び、食物から摂取する必要がある。
4.コレステロールは気にしなくてよい
『コレステロールが高いから玉子は控えるように!』という考え方は、間違っています。アメリカでは、「コレステロール摂取量とコレステロール値の因果関係を示す臨床結果データは無く、食品によるコレステロールの制限をなくす」ようにガイドラインが変更になっています。
5.1日3個程度を摂取
つまり、一日一個なんて昔の話です。ただし、過ぎたるは猶及ばざるが如しですから、私は1日3個程度をお薦めしています。玉子は、いろいろな食品に含まれていますので、2個程度を玉子として食べるとちょうどよいと思われます。腹持ちもよいので、ゆで卵を一つおかずに足したり、おやつに食べても結構満足できます。コンビニにもゆで玉子は売っているので、お薦めです。
6.まとめ
- 玉子は、血糖値を改善し糖尿病リスクを減らします。
- コレステロールは気にせず、1日3個程度を目安にしましょう。
- お腹がすいたら、おやつ代わりにコンビニでゆで玉子を購入することもお薦めです。