令和2年6月に、医療法人ブレイングループでは、敷地内にクローバー歯科さんに開業いただきました。そのため、内科受診と一緒に歯科受診ができ、とても好評です。しかし、歯科受診をされてきた患者さんから、タイトルにあるような一言を頂戴することがあります。
目次
1.歯科に定期受診している患者さんは?
現在200名近い患者さんに、定期的に歯科受診してもらっています。患者さんの基礎疾患としては、7割が認知症、3割が糖尿病患者さんです。今後は総入れ歯の方の受診も検討しています。糖尿病患者さんは、認知症患者さんに比べ年齢も若く、忙しいためか歯科導入率が低い傾向があります。これも今後の検討課題です。
2.患者さんの「歯を掃除してもらっただけ」とは?
当院の患者さんの歯科受診の目的は、口腔ケアです。しかし、かなりの患者さんは、これまで殆ど歯科に罹っていなかったため、しばらくは治療が必要でした。ようやく治療が終了すると本来の目的である「口腔ケア」が主体の診察に移行します。そのような方に自分が診察時に、「今日は、歯科受診を終えられましたか?」と伺うと、「歯科で掃除だけしてもらってきました」と答えられるのです。どうも、「掃除だけ」が引っかかります。これを放置すると歯科受診を中止しそうなので、「歯科受診の目的は、掃除です」と強く説明します。
3.歯科の定期受診は医師の義務
さらに患者さんには、「定期的な口腔内の掃除は、命に係わるすべての疾患を予防する」ことを、しつこく説明します。何しろ認知症、糖尿病、脳血管障害、虚血性心疾患、さらには、癌にまで影響を及ぼすのです。ここまで説明すると、付き添いの方までが「歯科に定期受診します」と言われます。これからの時代、自分の患者さんに「歯科の定期受診」を薦めることは、医師の義務でもあるのです。
4.限りある口腔ケア枠は大切に
私の患者さんの多くは、認知機能のなかでも前頭葉機能が低下されている患者さんがいらっしゃいます。そのため、歯科の定期受診の重要性を訴えても、「歯科にかかっても、何も変わらん!」と受診拒否する方もいらっしゃいます。そんな時は「わかりました。歯科受診を希望されている方はたくさんいるので、せっかくの枠を無駄にするなら、予約は取らないでください」と少し厳しく言います。そうすると、なぜか受診を継続してくれます。少し意地悪ですが、無理に勧めるよりも効果があります。実際に、歯科衛生士さんのマンパワーを考えても、歯科の定期受診には限りがあります。限りある医療資源は、大切にする必要があるのです。
5.まとめ
- 認知症患者さんに比べ、糖尿病患者さんの歯科受診率は、低めです。
- 患者さんの中には、定期的な口腔ケアを、「掃除だけしてもらってきました」と不満げに語られる方もいます。
- 医科歯科連携において、「掃除だけ」が命に係わるすべての疾患を予防するのです。