FP資格を持つ専門医が、医療機関でも資金借入を薦める理由

FP資格を持つ専門医が、医療機関でも資金借入を薦める理由

新型コロナウイルスによる非常事態宣言により、多くの職種が売上減に陥り、国レベルでの支援策も表明されています。そんな中、医師や歯科医は、患者さんへの対応に比べ、経済的危機に対する対応は不十分ではないでしょうか? もちろん、売上も減少せず、かえって増えているなら借り入れは不要です。しかし、昨年同時期よりも5%程度でも売上が落ちていれば検討しましょう。

今回の記事では、FP資格をもつ医療法人グループの代表である長谷川嘉哉が医療機関であってもこの時期に積極的な借り入れを薦める理由をご紹介します。

目次

1.なぜ借入が必要か?

今回の新型コロナウイルスによる非常事態宣言は、今までに医療機関も経験しなかったことが起こる可能性があります。

1-1.感染拡大が収束しても収入ゼロもありえる

仮に、医療機関でスタッフや患者さんにコロナウイルスの感染者が出た場合、最悪の場合は一定期間の閉院を余儀なくされます。仮に、開院できてもすぐに患者さんが戻ってきてくれるわけではありません。その際の院の収入は限りなくゼロに近くなることさえあるのです。

1-2.スタッフの収入と雇用を守ることが必要

売上が減ったとはいえ、スタッフの給与を減らしたり、ましてや解雇するなどは経営者としては避けたいものです。新型コロナウイルスの感染はいずれ必ず終息します。その日までスタッフを守るためにも資金が必要なのです。

1-3.お金がないと正しい経営判断ができない

経営者は、手元のお金が減ってくると正しい判断ができなくなることがあります。売上欲しさに、無理に営業をして、かえって長期の閉院を余儀なくされたりします。スタッフの雇用条件を変えて、信頼を失ったりすることもあるのです。精神衛生的にも、元に潤沢な資金が必要なのです。

Businessman counting money, Japanese yen banknotes, in front of laptop computer at working desk
健全な精神状態のためにも手元資金が必要です

2.何を借りる?

何の名目で借りればよいのでしょうか?

2-1.通常の運転資金ではない

今回、医療機関が借りるのは、運転資金です。運転資金の定義は、「売掛金+棚卸資産-買掛金」です。しかし、今回はその定義ではなく、売上がゼロに近くなった場合に備えます。最低でも、月商の2か月分、可能ならそれ以上の借入を行いましょう。

2-2.借入期間は最大限

通常の運転資金の借入期間は、5〜7年程度です。しかし、今回の緊急対策では運転資金でも借入期間が15年まで可能です。金利も相当低いですから、期間を最大の15年で借り入れるようにしましょう。

2-3.据置期間も有効利用

今回の緊急対策では、返済の据え置き期間も設定が可能です。あまり据え置きを長くするとその後の返済がきつくなりますが、新型コロナウイルスが完全に終息してから世の中が落ち着くまで2年程度は据置期間が必要かもしれません。

3.具体的にはどこから借りるの?

医療機関の場合、どこから借りればよいのでしょうか?


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3-1.日本政策金融公庫で借りる

金額によって、国民事業か中小事業かを選択しましょう。国民事業の方が借入しやすい傾向があるようです。

  • 設備資金 20 年以内、運転資金 15 年以内
  • 中小事業 1.11%→0.21%、3 億上限、利下げ限度 1 億(3 年のみ)
  • 国民事業 1.36%→0.46%、6,000 万上限、利下げ限度 3,000 万(3年のみ)

以下の、サイトから申し込み用紙をダウンロードします。そして必要書類をそろえれば郵送で受け付けてくれます。

3-2.銀行、信用金庫で借りる。

お付き合いのある銀行があれば、そちらで相談をしてみましょう。ただし、どの金融機関も相当忙しくなっていることを理解してあげてください。

  • 保証協会付融資(倒産したら保証協会が補てんする制度)
  • セーフティネット枠 4 号(100%保証、売上 20%減)、5 号(80%保証、売上 5%減)
  • 保証料補助有り
  •  利息補助有

4.最新の情報を得るためには

今回の融資の情報は、日々変わっており、専門職の方もついていけていない程です。以下のサイトで適宜情報を得てください。

経済産業省HPの一覧パンフレット

https://www.meti.go.jp/covid-19/index.html

5.まとめ

  • コロナウイルスにより医療機関も閉院を余儀なくされ売上がゼロに近くなる可能性があります。
  • 常に正しい経営判断を下すためにも、潤沢な資金が必要です。
  • この時期でこそ、長期の返済期間で運転資金を確保しましょう。

 

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