経営者が顧問税理士に満足しない理由・よい税理士を見つけるコツとは

経営者が顧問税理士に満足しない理由・よい税理士を見つけるコツとは

私は、「経営者として毎晩枕を高くして眠れているのは、顧問税理士さんのおかげ」と思っています。それほど、経営において顧問税理士の選択は重要です。しかし、経営者の方々とお話をすると、多くの方が顧問税理士への不満を口にされます。

私は、現在10件以上の医療機関の経営コンサルを行っていますが、あまりにもレベルが低い顧問税理士の存在に驚かされます。印象としては8割の顧問税理士は使えません。そのため、多くのクライアントには顧問税理士を変わっていただき、喜んでいただいています。今回の記事では、医療法人ブレイングループの理事長であり、医療コンサルタントでもある長谷川嘉哉が顧問税理士との正しい付き合い方をご紹介します。

1.税理士とは?

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税理士はそもそも経営のプロではないのです

そもそも経営者の多くは、税理士さんの仕事を勘違いしています。中には「お金のことはすべて税理士さんにお願いしている」と勘違いされている人までいらっしゃいます。日本税理士連合会のホームページでは、税理士の仕事として以下が紹介されています。

1-1.税務代理

あなたの代理として、確定申告、青色申告の承認申請、税務調査の立会い、税務署の更正・決定に不服がある場合の申立てなどを行います。

1-2.税務書類の作成

あなたに代わって、確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書、その他税務署などに提出する書類を作成します。

1-3.税務相談

あなたが税金のことで困ったとき、わからないとき、知りたいとき、ご相談に応じます。「事前」のご相談が有効です。

2.税理士に経営の相談をしてはいけない

前章でご紹介した税理士さんの仕事を読んで、ご理解できたでしょうか? あくまで、税理士さんの主な仕事は、税金の申告に関するものなのです。

2-1.税理士は経営をしたことはない

そもそも税理士事務所自体が、10名にも満たない少人数であることが大部分です。彼ら自体の売上も大したものではありませんし、人の雇用の経験もわずかです、つまり、税理士自身、殆ど経営をしたことはないのです。したがって、税理士さんに経営の相談をすること自体が間違いなのです。

2-2.担当者は資格者じゃないことが多い

そもそもあなたの担当者は税理士でしょうか? 多くの税理士事務所は、代表の税理士が一人いて、担当は何の資格もない無資格者であることが大部分です。確かに資格がなくても優秀な方はいらっしゃいます。しかし、無資格者の知識は表面的で信頼をすることはできません。これは、健康情報をどれだけ知っていても、資格・経験を積んだ医師とは比べ物にならないことと同じです。

2-3.税理士に経営の相談をする無意味さに気が付くことが成長の第一歩

私のクライアントも、コンサルを重ねると税理士さんへ相談する内容が分かるようになってきます。もちろんその中には、経営の相談は含まれません。あくまで税理士さんには税務の相談をすることを理解できるようになります。それこそが、経営者の成長の第一歩なのです。

3.税理士さんへの不満

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思うように動いてくれないことは多々あります

税理士さんには経営の相談をしてはいけないことが理解できても、まだ多くの経営者は不満を持っています。いくつかご紹介します。

3-1.税理士は提案をしてくれない

私は、会社分割をしたり、グループ法人税制を取り入れています。それを聞くと多くの方から、「税理士さんの提案ですか?」と聞かれます。残念ながら、税理士さんから提案されることは一つもありません。そもそも税理士さんは提案しないものなのです。

なぜなら、良い方法を提案しても、経営者が理解できなければ、意味がありません。逆に、恨まれることさえあるのです。経営者としては、自ら勉強して、具体的な方法を税理士さんに質問することが大事なのです。

3-2.経費については、しっかりと主張を

「経費を認めてくれない」も多くの不満です。中には、「医師仲間で食事をした費用を認めてくれない」と不満を言われる方もいらっしゃいます。食事をしただけでは、税理士さんは認めることはできません。しかし、経営者として「医師仲間と情報交換をして、売上につなげることができた」と強く主張できれば、税理士さんも認めてくれるものです。

3-3.税理士は、簡単なことを難しく説明するプロ

私は、「税理士は、簡単なことを難しく説明するプロ」だと思います。普通の学力があれば、決算書の読み方は難しくありません。私のクライアントも、数字が苦手と言っても、適切な方法で説明すれば、すぐに理解してくれます。少なくとも、医師や歯科医の能力をもっていて決算書が読めないのは、説明する税理士に問題があるのです。


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4.ダメな税理士の見分け方

ダメな税理士の見分け方をいくつかご紹介します。

4-1.月次報告書が届く時期が遅い

使えない税理士は、月次決算書が届くのが遅いものです。例えば、10月の月次決算書であれば、11月の中頃には欲しいものです。そうでなければ、経営判断の修正をすぐに行うことができないからです。なかには、医科歯科の担当で、保険売上の入金が2か月後であるため、9月の売上を11月の入金後の12月に届ける税理士さえいます。こんな税理士事務所は変えてしまいましょう。

4-2.月次報告書が届かないところは問題外

実は、月次報告書が作られない税理士事務所も存在します。決算の時にいきなり1年間の決算報告書を届けるのです。こうなると、経営というより、おみくじのようなものです。こんな税理士事務所は、存在自体が悪です。

4-3.一年以内の借入返済が載っているか

これについては、私の顧問税理士事務所の曽根康正先生の言葉を借ります。「あなたの会社の貸借対照表(B/S)に長期借入金あるにもかかわらず、流動負債の中に『一年以内返済予定長期借入金』という勘定科目がなければ、あなたの会社の税理士事務所は超三流です。その税理士事務所はB/Sは読めない上にあなたの会社が借入金を返済するためにいくら利益が必要かもわかっていない、単なる税金計算しかしない税理士事務所です。」

私自身も「一年以内返済予定長期借入金」と「減価償却費」を比較しながら、キャッシュフローを想定します。この項目を作っていない税理士事務所は使えないのです。

4-4.引き当て項目を積極的に作ってくれているか

最低でも賞与引当をして欲しいものです。そうでないと、賞与月は「賞与のために利益が少ない」の言葉で終わってしまいます。実際には、賞与以外に売上が減っていたり、無駄な経費が増えていても分からなくなるのです。

そこで、支払うべき賞与を6か月で分けて毎月負担します。そうすることで正しい経営判断がしやすくなるのです。

4-5.納税よりも節税を提案してくる

会社は、納税することで大きくなります。少し利益が出た程度で節税を薦めるような税理士事務所は使えません。

5.経営者にも問題点がある、とは

もちろん、経営者自身も学ぶ必要があります。税理士にすべて委ねるという考え方では経営はうまくいかないのです。

5-1.お金の流れが一目でわかる! 超★ドンブリ経営のすすめ

勉強をすると言っても、なかなか難しいものです。実際に、経営の本も出ていますが、良書は少ないものです。その中で、本当に多くの方にご紹介した本が和仁達也さんの本です。私自身の経営も、コンサルもこの本が基礎になっています。私は、過去に年間売上が8000億円を超えるエーザイ株式会社の本社でも、この本の内容を使って、決算書の問題点を講義したことがあります。経営は、会社の規模は関係なく、考え方は同じなのです。Amazonの紹介ページを掲載しておきますので、参考になさってください。

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5-2.税理士向けCDで経営者自ら学ぶ

提案してくれない税理士事務所を使いこなすには、自ら質問する必要があります。私は、税理士法人レガシーのCDを定期的に購入して、聞いています。これは、会計事務所向けのCDですが、タイトルを見ていると医療業界でも参考になるものがあります。これである程度学んでから、税理士さんに質問するとお互いのレベルが上がります。

税理士法人レガシーのセミナーページ

5-3.専門家にお金を惜しまない

税理士事務所の話をすると、すぐに顧問料を気にする方がいらっしゃいます。しかし、経営者としてプロにお金を惜しんではいけません。顧問料よりも内容で吟味しましょう。しかし、不思議とレベルの高い税理士法人ほど、顧問料も常識的です。

6.まとめ

  • 税理士にお金のことをすべて期待してはいけません
  • 税理士の仕事は納税が主体で、経営についてはそもそも知識を持ち合わせていません
  • 税理士を上手く使うためにも、経営者自らが学ぶ必要があります
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