先日、東大病院リハビリ科の粕谷大智さんの「東大病院リハビリ科の鍼灸博士が教える 最強のボディメンテナンス」を読みました。私はもともと14年間鍼灸にかかっていたのでとても興味深く読ませていただきました。その中で、せんねん灸を使った自宅でできるお灸が紹介されていました。さっそく自分でも試してみてその効果に驚いています。
今では、妻と3人娘もお灸が気に入り、毎晩自分がこの4人に対してまさに「お灸を据えて」います。今回の記事では脳神経内科専門医がいまハマっている「セルフお灸」についてご紹介します。もちろんもっと詳しい内容を希望する場合は、プロの鍼灸の先生にかかってください。
目次
1.そもそもお灸はなぜ効く?
そもそも、身体に数カ所お灸を据えただけでなぜ効果があるのでしょうか? 粕谷大智さんの言葉を借りると、「身体をゆるめ、元ある状態へと導く」ということのようです。
1-1.熱刺激が「めぐり」を改善
お灸の特徴は熱刺激です。痛みや疲れがたまると、身体のツボを結ぶ経脈の流れが滞ります。そこでツボを熱刺激することで、血管を拡張し、東洋医学でいう「気」や不要物が自然と流れるようになるのです。
1-2.もぐさの効果
もぐさに含まれる精油「チネオール」の香りは、ダイレクトに脳を刺激します。また、温熱の快感が脳に伝わると、ドーパミンやセロトニンといった快楽に繫がる神経伝達物質が放出されるのです。
1-3.遠隔効果
お灸は、据えた部分の緊張を緩めるだけではありません。ツボは遠隔操作をします。身体の表面を刺激することで、反射ルートを通じて離れた部位を調節してくれます。私自身も、足の先にお灸を据えると、頭から目の奥に心地よい刺激を感じます。
2.初めてお灸。その不安は
市販されているせんねん灸を使うと気楽に自宅でお灸ができます。ただ、少し不安を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。以下のような心配があるのではないでしょうか。
2-1.お灸は熱い?
せんねん灸を使えば、熱くはありません。じんわりとほどよい暖かさです。ただし体調によって、同じ場所にお灸を据えても、少し熱く感じる日と、まったく熱く感じない日があるから不思議です。一般的に「ツボが熱さを感じないのは、その部分が対応する身体の機能が弱っているから」と言われています。
2-2.お灸は面倒?
せんねん灸はとっても簡単です。台座のシールをはがして、火をつけてツボに貼るだけです。私が、4人の女性に6カ所ずつ貼ってもそれほど苦にはならないほどです。
2-3.ツボが分からないのですが?
代表的なツボは、サイト等で調べることができます。おおよその場所に手を当ててみて、「へこみを感じるところ」や「押すと軽い痛みがあるところ」がツボであるのです。以下のサイトも参考になさってください。
3.長谷川がお気に入り・お薦めなツボとは
私のお気に入りで、お勧めのツボをご紹介します。
3-1.大衝(たいしょう)
これは、とっておき13のツボには含まれていないのですが、眼を使う人にはお勧めです。足の甲の親趾と第2趾の候が交わるところから、やや指先寄りの凹みです。眼精疲労、視力低下、頭痛等に効果があります。ここにお灸をすえると、眼の奥から頭全体に反応を感じるほどです。
3-2.足三里(あしさんり)
万能養生のツボと言われています。松尾芭蕉も「足三里」に灸しながら、奥の細道を旅したと言われています。足の疲れ、むくみ、膝の痛みだけでなく、胃腸の働きも高めます。その結果、病気予防、体力増強の効果があります。
膝のお皿の下のすぐ下の外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本を揃えて、小指の当たるところです。本当に、このように手をあてると小指の位置になるから不思議です。
3-3.合谷(ごうこく)
このツボは、私の13万部売れた私の著書、「親ゆびを刺激すれば脳がたちまち若返りだす」でもご紹介しているツボです。手の親指と人差し指が交わったところから、やや人差し指寄りの凹みです。
万能のツボと言われ、風邪の引き初めや、眼、鼻、歯の痛みに効果的です。血圧が下がる効果も知られています。お灸の体験には、この合谷で試されることをお勧めします。
3-4.湧泉(ゆうせん)
自分自身としては、最も効果を感じるツボです。足の裏であるため、お灸がしにくい点が難点ですが、何とか一人でもお灸ができる位置です。具体的には、足の指を曲げたときに、足の裏で一番へこむ場所です。身体の疲れをとったり、首のコリをほぐし、頭の血行を良くします。文字通り、生きるためのエネルギーが、「泉」のように湧き出てきます。
3-5.承山(しょうざん)
腰や背中の張り、重だるさに効果があります。こむら返りの予防にも効果があります。アキレス腱ををふくらはぎの方へ撫で上げていくと、凹みがありそこが承山のツボです。医学的には、腱と筋の境目になります。毎日、トレーニングをしている自分としては、とても効果を感じています。
4.共通した副交感神経の刺激
ご紹介したツボには個々の効果があります。しかし、部位に関係なく効果を感じる症状があります。これは、とにかくよく眠れることです。これは、わが家5名の感想です。もともと不眠を意識していたわけではありませんが、お灸をすると「より深い睡眠」を感じます。妻は、毎晩トイレに起きていたのが、起きなくなったほどです。
医学的に言うと、お灸により副交感神経が優位になった思われます。そのため、快眠以外にも快便にもつながっています。
5.注意
使用に際しては、以下に注意をしてください。
5-1.煙と臭い
お灸は、もぐさを燃やすため、煙が出ます。同時に臭いもありますので、大事な服などには臭いがつかないように気をつけましょう。そのため適度な換気も必要ですが、5人分になると間に合いません。我が家では、空気洗浄機を購入しました。
5-2.火に注意
お灸自体の安全性は高いのですが、火を使うことは事実です。布団や寝間着など、燃えやすいものには注意をしましょう。また、お灸の煙は上に上がりますから、火がついている先を、下向きにしてはいけません。煙の熱で、火傷をする可能性があります。
5-3.火傷に注意
ツボから外れていると熱さを感じます。熱いと感じたら、お灸を外すか、位置を変えましょう。ツボであっても熱さを感じたら、そのツボにお灸をする必要はないのです。
6.おすすめの家庭用お灸とは
お薦めのお灸をご紹介します。
6-1.コストパフォーマンスが良いものは
火を使って、煙も出るものがもっともコストパフォーマンスが良いです。温熱感にレベルがあります。
- せんねん灸オフ ソフトきゅう 竹生島:初心者レベルです。皮膚の弱い人にはここからお勧めです。
- せんねん灸オフ ソフトレギュラー灸 伊吹:もっとも愛用者多いタイプです。私もこれを愛用しています。
6-2.煙が出ないものもあり
どうしても煙が気になる方には、「せんねん灸の奇跡」があります。私も使用しましたが、効果は同等ですが、煙と香りが抑えられています。但し、少し火が付きにくい点、お灸が燃え尽きるのに通常のものが5分に対して7分かかる点、値段が若干高い点が難点です。
私個人は、前項で紹介したスタンダードなものをお勧めします。
6-3.「火を使わない」は、高すぎる
お灸の中には、火も使わない、もちろん煙も出ないものもあります。ただし、値段を換算すると、一個がが80円程度と高すぎます。毎日、何カ所も使用することを考え得ると高すぎます。
7.まとめ
- 長谷川家ではお灸がブームです。
- そのため、毎日私が、女性4人にお灸をすえています。
- 思った以上に効果を体感していますので、一度トライされることをお勧めします。