【お薦め本の紹介】老後ひとり難民 by 沢村香苗

【お薦め本の紹介】老後ひとり難民 by 沢村香苗

認知症外来でも、いわゆる「おひとり様」の患者さんがいらっしゃると医療サービスの提供としてはお手上げです。老後に頼れる人がおらず、ひとりになれば、「おひとりさま」というポジティブな呼び方とはかけ離れた、厳しい現実と向き合うことになるのです。

  • 1年間に亡くなった人のおよそ 15 人に1人が、身寄りがない人や身元がわからない人として行政機関に火葬されている
  • 高齢期というのは、「心身が衰えて苦しいなかで、新たな出来事への対応が求められる」という困難をはらんでいる
  • 「終活」をしようとすれば、お墓や葬儀をどうするかも、さまざまな選択肢から決めなくてはなりません。
  • 「本人の意思決定」が大切にされるようになったのはポジティブなことですが、高齢になって初めて直面する多くの問題について、一つ一つ選択を迫られるのは負担が大きいものです。
  • 本人の意思決定が重視されるということは、本人が意思決定できなくなったとき、代わりに意思決定してくれる身寄りがいなければ、さまざまな場面で行き詰まる ことを意味
  • 介護保険は「面倒を見られる家族がいること」を前提に作られている
  • 介護保険サービスが提供しているのは、あくまでも「食事」「入浴」「排せつ」などの身体的ケアと、その周辺のサービスです。
  • 「老後ひとり難民」予備軍の「単身者」と「夫婦のみ」世帯は7割近い
  • 「独居老人の増加」と「ヘルパー不足」という負のスパイラル
  • 「家族同士で面倒を見るのが当たり前」という時代は、すでに終わりつつある
  • 2022年度の「介護労働実態調査」によると、 訪問介護のヘルパーの平均年齢は 54・7歳で、 60 歳以上が 38・1%、このうち 70 歳以上が 13・5% でした。
  • 成年後見制度が、市町村長や本人による申し立てが増えているのは、申し立てをしてくれる身寄りがいない「老後ひとり難民」が増えているため だと推測されます
  • 生活保護を受給できれば医療費の心配がなく、緊急時に入院を拒まれるおそれは小さくなります。住宅扶助が出るため、賃貸住宅に住んでいる人の場合は、貸主にとっても安心材料となることは間違いありません。
  • 自治体とのつながりができることによって、看取りや火葬などもスムーズに対応してもらえる可能性が高くなります。「老後ひとり難民」のなかでは、ある意味で「恵まれている層」だともいえる かもしれません。
  • 高齢期に身元保証人が求められる主な場面は、入院するときと、介護施設や新しい賃貸住宅などに移るときです。
  • 医療機関が求めているのは、「本人が自ら行えないことを、代わりに行ってくれる人」なのです。  単に金銭的な保証人というだけでなく、本人に代わってさまざまな役割を担ってくれる存在が必要とされている
  • 「身元保証等高齢者サポート事業」は監督官庁がないことや、過去に大手の事業者が倒産したことなどから、利用に慎重な意見もあります。
  • 監督官庁がないことや、過去に大手の事業者が倒産したことなどから、利用に慎重な意見もあります。
  • 私は「ピンピンコロリは思考停止ワード」だと思っています。
  • 近年は、民生委員の担い手不足と高齢化が深刻な問題 となっています。直近の2022年 12 月の一斉改選では、定数約 24 万人に対し、約1万5000人の欠員が生じており、充足率は 93・7%にとどまりました。
  • どこまで丁寧に親族を探すのか、そのやり方などは自治体によって異なりますが、時間や手間をかけて親族を探そうとする自治体の場合、遺体が長期保管されるリスクは高い といえそうです。
  • 低所得者向けの施設のなかには、入居者の預金通帳等を管理する契約になっているところもあり、いわゆる「貧困ビジネス」に近い構造になっているケースも見受けられます。
  • 亡くなったあとには、病院・福祉施設などの費用精算、遺体の確認・引き取り指示、部屋の原状回復、残した家財・遺品の処分、公共料金や生前利用していたサービスの契約解除、火葬・埋葬など、さまざまな手続きが必要となります。
  • 携帯電話についていえば、本人や本人から依頼を受けた代理人、後見人などの法定代理人以外による解約が、非常に困難なケースが多いようです。
  • 遺贈とは、故人が残した遺言にしたがって、特定の誰かに財産をゆずることです。遺贈の問題の一つは、高齢者が本当に自分の意思で寄付を決めたのかどうかを確認することが難しい という点です。
  • 高齢者のサポートとして行われるサービスの大半は、もともと家族が無償で行うのが当たり前だったことばかりであり、さらに介護保険サービスの範囲内のことは、1割の負担で済みます。  このため、民間の「身元保証等高齢者サポート事業者」の料金設定を「高い」と感じる利用者が少なくない
  • おおまかにいえば、「身元保証等高齢者サポート事業者」に身元保証と死後事務を依頼する場合、おおむね200万~300万円程度はかかるもの
Amazon紹介ページ
長谷川嘉哉監修シリーズ