【お薦め本の紹介】「おひとりさまの老後」のあとは、「在宅ひとり死のススメ」

【お薦め本の紹介】「おひとりさまの老後」のあとは、「在宅ひとり死のススメ」

2007年に出版された上野千鶴子さんの「おひとりさまの老後」は、「独身であろうが、結婚していようが、子供がいてもいなくても、最後は一人」ということが、とてもインパクトのある本でした。そんな、上野さんの最新作は、「在宅ひとり死のススメ」です。実際に、訪問診療をしているものからすると、「在宅ひとり死」を望む方は少ないものです。しかし、本の内容は、勉強になる事が満載でした。一部、ご紹介します。

  • 高齢者世帯の独居率は、わたしが『おひとりさまの老後』を出した2007年には 15・7%だったのが、2019年には 27%と急増。夫婦世帯率は 33%と高齢者のみの世帯の合計が5割を越えます。夫婦世帯は死別離別による独居世帯予備軍だと考えれば、近い将来、独居世帯は半分以上になる。
  • 大きく変化したのは、夫婦のいずれかに死に別れても、世帯分離を維持したまま、中途同居を選択しないひとたちが増えたこと。
  • 「独居高齢者の生活満足度のほうが同居高齢者より高い」というデータが得られました。
  • 二人世帯とは、「夫婦世帯」か「親一人子一人世帯」のいずれかです。夫婦世帯は別名「空の巣」期とも呼ばれて、子育てを終わった目標喪失のカップルが顔を見合わせる危機の時期。異文化が激突する夫婦世帯では、お互いの生活満足度が低いのも、想像にかたくありません。
  • 同居者の人数が増えるとたしかに満足度も上がりますが、反対に「悩み度」も高くなる傾向があります。
  • いちばん寂しいのは、気持ちの通じない家族と同居している高齢者。事実、高齢者の自殺率は、予想に反して独居高齢者より同居高齢者の方が高い
  • 少子高齢化社会のあとには、超高齢社会、そしてその次には多死社会がくる。
  • わたしはどこのアパートやマンションでも、エレベーターに乗るたびにお棺が入るサイズかどうかをチェックする習慣がつきました。
  • 死ぬのに医者は要りません。医者は死んだ後に死亡診断書を書いてもらうために要ります。
  • 年寄りの容態が急変したり、死にかけの現場を発見したら、どうすればいいか、ですって? まちがっても119番しないこと
  • 孤独死するひとびとは圧倒的に男性、しかも年齢は 50 代後半から 60 代。高齢者ですらない。つまりこれは中高年男性問題であって、高齢女性問題ではない。
  • 孤独死したひとびとは、生きているうちから孤立した生を送っています。孤立した生が孤独死を招くので、生きているあいだに孤立していなければ、孤独死を怖れることもありません。
  • 臨終に立ち会いたいというのは死ぬ側ではなく、死なれる側のこだわりだということでした。わたしはこれを「看取り立ち会いコンプレックス」と名付けまし
  • 死の床にとりすがって、「お母さん、あなたの息子で、ボクはうれしいよ」と泣くくらいなら、もっと早くに口にしておけばよい。
  • 生きるとは、食べて、出して、清潔を保つ、ということ。これが食事、排泄、入浴という3大介護です。この3点セットが維持できるあいだは、生きられる。
  • 成年後見には制度に欠陥があって、契約は本人の死亡時まで。たとえ臨終に立ち会っても、そこから先の遺体の処理や葬儀、埋葬の一切には関与しないことになっている。
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