「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止かというと笑笑」発言で、内閣官房参与を辞任した高橋洋一さんですが、そんなことで彼を否定してはいけません。何しろ、高橋洋一さんは、25 年ほど前の1995年頃、最初に政府のバランスシートを作った方なのです。そのため、今までの著書も本当に真実を言い当てているものでした。今回の、「給料低いのぜーんぶ日銀のせい」も相当にお薦めです。多くの方に、一読をお薦めします。
- 1990年から 30 年間で賃金が2倍以上伸びている国が多い中で、日本はほぼゼロ
- 中央銀行である日本銀行が長きにわたり、わざわざ賃金が伸びない政策を打ち出してきた
- 国の金融機構の中核である中央銀行は、金融政策を通じて、物価の安定と経済の発展に対して責任を負っているが、物価が「安定」しているだけでは「経済の健全な発展」は実現しない。現に今の日本経済がそう
- 企業が融資を受けて(借金をして)事業を展開するのと、政府が国債を発行して(借金をして)国家を運営するのは、基本的には同じことなのである。 もし、企業がいっさいの借金をしなくなれば、事業はやがて縮小していき、企業活動も縮小していくことになる
- ミクロ経済学は個人の家計や企業の経済行動を分析するが、マクロ経済学は雇用や所得、経済成長など、国や世界の経済全体を分析する。 要するに、個人レベルで考えれば正しくても、それを全員が同じようにやったら正しい結果にはならない
- 問題は借金の額ではなく、その借金を返せるだけの資産があるか無いか
- 今の日本経済に必要なのは、言うまでもなく「買いオペ」だ。早い話、市中にお金が回るのなら、何を買ってでもお金をばら撒いたほうがいいということ
- 日本経済の最大の課題がデフレ脱却であるにもかかわらず、当時の日銀はデフレ解消のための金融緩和に一貫して消極的で、結果的に世界に例を見ないほどにまでデフレを長期化させてしまい、今に至っている。
- 為替も同様で、米ドルが日本の円よりも相対的に多くなれば(FRBがドルを大量に発行したら)、ドルの価値が下がり、円高になる。逆に、日銀が大量に日銀券を発行し、円がドルに対して相対的に多くなれば、円安に動くということ
- 「日本の財政リスクは低い」と見る大きな理由がある。 彼らが日本の財政状態を「政府」と「中央銀行」を合わせた統合型のバランスシート(B/S)で見ているから
- 1953(昭和 28)年以降、失業率を下げたのが 29 政権、就業者数を増やしたのは 10 政権しかない。その中で、もっとも失業率を下げたのが安倍政権であり、就業者数も佐藤栄作政権に次いで2番目に増やしている。 この比類なき実績と、日銀が決断した金融緩和策の成果を、大手メディアが積極的に報じないのは不思議
- 自殺率は失業率との相関性が高いため、失業率が下がれば自殺は減っていく傾向がある。
- もし、あのまま賃金が上がっていたら、筆者がアベノミクスにつける点数は100点
- 運転手が中央銀行の金融政策、アクセルがマネタリーベース、スピードがマネーストック、道路の状態や雨や風などの天候が景気の状況で
- 「とにかく事故さえ起こさなければいい」(物価が上がらなければいい)と言いながら、周りの車が 70㎞や80㎞で走っているのに、 40㎞でのろのろ走っていれば、座席に座っている人はみんなに抜かされて幸せになることはない。世界経済という車の流れに乗り遅れ、賃金も雇用も 20 年、 30 年変わらないということになるわけ
- 財政破綻を唱える人は負債の部分しか見ていないで騒いでいるだけ。簿記の基礎を少しだけ学んで見直せば、何も問題がない
- IMFが2018年 10 月に、各国の中央政府、地方政府、中央銀行などすべてを合わせた国全体のバランスシートを、国際比較する形でまとめて発表している。
- G7でもっとも財政状況がいいのがカナダで、日本は2番目だった。 ということは、「財政破綻」を理由に消費税を議論する必要は、もうこの段階でない