もしも私が、それなりの資産を築き、安定した収入が確保できれば挑戦してみたいことがあります。“年金辞退”です。
公的年金の支給開始年齢の引き上げが議論されていますが、、必要ない人は受取りを辞退することができます。以前はいったん受給手続きをすると停止できませんでしたが、2007年4月から受取りをやめたり再開したりできるようになりました。
国としては、仕組みが活用されて富裕層が辞退すれば、年金財政が少しは改善するのではと期待していたようです。しかし、この仕組みができ7年たって、日本年金機構によると2014年3月末現在、辞退者はわずか533人だそうです。
そのうち老齢年金は181人だけで、他は障害年金と遺族年金です。4月の国民年金と厚生年金の受給件数は合計約4000万件。これに比べると、辞退による給付削減効果は殆どないようです。
制度ができた当初、元厚生相の丹羽雄哉・自民党総務会長(当時)らが辞退を表明したそうです。資産や収入が多い高齢者のなかに年金財政のみならず国の行く末を憂える人は少なくないはずです。実際は、総論では賛成でも個人の話になると、なかなか辞退できないようです。
(私が厚生労働大臣になった時には、率先して辞退したいと思います。)
ところで辞退が増えれば年金財政は改善するのでしょうか?仮に支給額が上位の1万人が辞退すると、単純計算で「年間200億~300億円程度が浮く」そうです。支給額全体からみれば小さいのですが、ねんきん定期便の郵送料など通信費(12年度は242億円)程度は賄えるようです。大半の人にとって年金は老後生活を支える貴重な柱で、保険料を払ったからには受け取りたい気持ちもわかります。しかし、「幸い資産があるから、社会保険に頼らなくても大丈夫」という“気概”を持てるようになりたいものです。この国はお金を稼ぐことを、“悪”とする風潮を感じます?“たくさん稼いで、たくさん税金を払い、年金も辞退する”ことが、社会で称賛されれば結構辞退される方はいるような気がします。