退職代行業者の安易な利用をお勧めしない7つの理由

退職代行業者の安易な利用をお勧めしない7つの理由

先日、数人の経営者から退職代行業者がいることを聞きました。なんと最近では、退職の意向を自分自身で伝えず、代行業者に依頼するケースがあるとのことです。今の時代、面倒なことは人に任せることは一つの方法かもしれません。しかし、代行業者に依頼することによるデメリットもあるのです。

今回の記事では、最近はやりの退職代行業者について、デメリットを中心にご紹介します。

目次

1.退職代行業者とは?

退職代行とは、従業員が職場を退職したいと考えた場合に、本人に代わって退職の手続きを行ってくれるサービスです。経営者としては、「退職手続きぐらい自分でやれば?」と思えるのですが、いくつか理由があります。代表的なものは以下のようなものです。

  • 退職を伝えると、執拗な引き留めや、脅しや嫌がらせを受けることもある
  • 退職したくても、退職を切り出しづらい
  • そもそも、上司と顔も合わせたくない、喋りたくもない
Japanese letter of resignation
最初に務めた会社に一生い続けることが珍しくなっています。退職願を書くことは誰にでもありうることなのです

2.具体的な退職代行の業務と費用

退職代行業者は具体的に何をしてくれるのでしょうか?

まずは、職場を辞めたいと考える従業員が退職代行業者と相談、担当の打ち合わせをします。その後、費用を支払い(3万円前後)、その後、代行業者が会社に連絡をしてくれるのです。

しかしここで注意が必要です。経営者的な発想からすると、3万円前後の費用は安すぎます。退職代行業者に依頼する場合は、「こんな安い費用で何をやってくれる?」と疑うべきなのです。

3.従業員に非がある場合には注意

実は、退職自体は、代行業者を使わなくても、労働者(1年以下の有期雇用を除く)には退職の自由が保障されていて、いつでも意思を伝えて退職することができるのです。

しかし、従業員に何らかの重大な注意義務違反があり具体的な実害が起こっている場合や、長期の無断欠勤ががあった場合は、逆に「損害賠償請求」や「懲戒処分」を受けることがあります。

そんな時には、退職代行業者はいかなる対応もしてくれません。

4.退職代行業者は、非弁行為はできない

退職代行業者は、弁護士ではありませんから、会社との退職条件などの事項について協議することはできません。


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4-1.退職代行業者に交渉はできない

非弁行為とは、「弁護士でない者は報酬を得る目的で法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」という弁護士法72条に違反した行為をいいます。つまり、退職代行業者は、退職に必要な事務的な書類の処理を行う程度のことしかできないのです。

4-2.会社への金銭請求もできない

例えば仕事先の会社に未払い賃金や、未払い残業代、未精算の経費がある場合は、金銭的な請求があります。しかし、退職代行業者がこのような金銭の請求を行うことは、弁護士法の観点から許されてはいません。

4-3.円満退社もできない?

通常、退職の場合は、双方の話し合いで退職時期の調整をするものです。数週間程度の調整であれば、双方が納得でき円満退社につながります。しかし、退職代行業者の場合は、退職時期の調整のために従業員と職場を仲介すれば、弁護士法に抵触してしまいます。そのため、「本人が2週前に退職の申し入れをすれば退職は可能です」と主張して強引に退職を履行、せっかくの円満退職が実現できなくなるのです。

5.結局大したことはやっていない

ここまで読まれればご理解できたと思われますが、退職代行業者は大したことをやっていないのです。その業務内容は単なる事務手続きの代行です。この程度であれば、直接、職場と郵便でやり取りすれば、代行業者を介さなくても問題ない仕事なのです。

考えてみれば、3万円前後の費用でそれ以上の仕事内容を望むこと自体無理があるのです。

6.最大のデメリット

Business concepts, continue or change job
人生の岐路には覚悟と決意が必要です。そのときの行動の仕方がその後を左右するとも言えるでしょう

退職代行業者を使うデメリットは実務的な問題だけではありません。

6-1.退職代行会社を使って辞めた人を雇いたいか?

人は、働かずに生きていくことはできません。新しい職場を探す必要があります。そんな時に、新しい職場が前職を退職代行会社を使って辞めた人を雇いたいでしょうか?「前職を退職代行サービスを使って辞めた」こういう情報は不思議と広まっているものなのです。

6-2.逃げ癖がつく?

一度、退職代行業者を使ってしまうと、二度と自分で退職の意向は伝えることはできないのではないでしょうか?実際、仕事をしていれば、何度でも仕事を辞めたいと思うものです。それでも、退職を言い出せないうちに、仕事に馴染んでいくこともあるのです。そんな時に、退職代行業者を知ってしまうと、「逃げ癖」がついてしまい、結果として社会人としての最低限のマナーを保てなくなるかもしれません。

6-3.逆に退職代行業者で起業?

そもそも社会人として、「退職代行業者が、これだけの費用で何をやってくれるのか?」ぐらいの視点を持ってほしいものです。逆に、退職で苦労したのならば、「退職代行業者」で起業するぐらいの心持が欲しいものです。

7.本当に必要なら弁護士さんに依頼しよう

ただし、世の中には、ブラック企業のように、本当に劣悪な環境での仕事を強いて、その上、非合法な方法で退職を認めない職場があることも事実です。その際には、退職代行業者でなく弁護士さんに依頼しましょう。弁護士さんに依頼すれば、退職代行だけでなく、金銭請求、退職調整などもすべて行ってくれます。費用も5万円程度と、退職代行業者とそれほど差異はありません。

8.まとめ

  • 退職代行業者は、職場との交渉をする権限はない
  • 退職代行業者は、単なる事務手続きしかやってくれない
  • 本当に、退職代行をお願いする場合は、弁護士さんにお願いしよう
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