【お薦め本の紹介】東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム

【お薦め本の紹介】東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム

NHK特集でも紹介されていた著者の本です。毎日お灸をして、週に1回鍼に通っているので、東洋医学の効果は体感しています。本の中には、本当に多彩な作用機序によって効果が表れることが紹介されています。医師の立場からも、東洋医学は適切に取り入れられることがお薦めです。

  • 統合医療を「近代西洋医学を前提として、これに相補(補完)・代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うもの」と説明しています。
  • 鍼灸を行う施術所は7万を超えていて、コンビニの店舗数より多くなっています。
  • 鍼灸はアメリカでも公的な医療保険の対象になっていますし、ドイツやイタリアなどヨーロッパでは、全体で数万人以上の医師が臨床で鍼灸を施術している
  • 2008年にWHOが中心となって、361種のツボを標準経穴として公表し、それが世界中の鍼灸治療の基本となりました。
  • ツボ、つまり経穴には2つの特徴があると考えられています。ひとつは、心身に不調があるときに痛みなどが生じる 反応点 の役割です。 2つめの特徴は、皆さんもご存知のとおり、 治療点としての役割です。ツボに鍼を刺したり、お灸をすえたりすることで、痛みをはじめ心身のさまざまな症状を改善することができます。
  • 鍼灸において、ツボと同じくらい大切だとされるのが 経絡 と呼ばれる概念です。体が持つエネルギーとされる「気」や、血液などの「血」の流れを示す道筋とされ、特定の臓器や体の部位と密接な関係があると考えられています。
  • 西洋医学の「神経」ということばは、「神気(=精神)」 と「経脈」 を合わせたもので、江戸時代に『解体新書』が翻訳されたときにつくられた造語です。
  • 鍼灸によるツボへの刺激は、人体の「末梢」、「脊髄」、「脳」 の、大きく3つの場所で作用して鎮痛効果を生み出していることがわかってきました
  • 鍼を刺した皮膚の周りが赤くなる様子をご覧になったことがある方がいらっしゃると思います。俗に フレア と呼ばれ、軸索反射の生理反応によって、鍼を刺した周囲の血流が増加して起こる現象です。
  • こりや張りの痛み改善 ツボの中には筋肉本体ではなく、筋肉と骨をつなぐ腱の近くに位置しているものが少なくありません。
  • 灸刺激によって特定の神経細胞や免疫細胞が活性化し、内因性オピオイドが分泌されて鎮痛効果がもたらされるのです。
  • 免疫細胞が鎮痛の役割を担うオピオイドを放出し、受容体と結合することで、「神経の興奮を鎮める」という情報が伝えられ、痛みのインパルスの発生を抑制することで鎮痛効果がもたらされます
  • 鍼灸治療では、こりのある場所に鍼が刺さったとき「ズーン」という独特の鈍い痛みを感じることがありますが、これはCという線維によって伝達されています。この独特の痛みは「ひびき」と呼ばれ、きちんと鍼が筋肉のこりに作用している証とされています。
  • 長引く痛みやケガ、心理的なストレス、さらに病気といった影響などによってこの神経回路が混線したり、それぞれの神経の異常な活性化や低下が生じたりして、痛みシグナルが増幅され慢性疼痛の原因になると考えられています。
  • 鍼灸の刺激も、基本的には痛みと同じルートで脳の中を巡り、痛みを抑制するさまざまなメカニズムを活性化させ、鎮痛作用を生み出すことが明らかになってきています。
  • 内因性オピオイドは、鍼灸の刺激によって脳の痛みの情報処理に関係する扁桃体などでも分泌され、痛み信号を弱める作用が確認されています。
  • 鍼灸の鎮痛効果に欠かせないオピオイド受容体ですが、薬剤として使われるモルヒネなどの鎮痛薬も、同じ受容体に作用します。
  • 交感神経の興奮は、痛みをもたらすだけでなく、痛みを増幅してしまう原因にもなります。
  • 鍼灸刺激によるインパルスは、脊髄を通って脳の視床下部に入ります。すると、ここから交感神経が関係するストレスに関するさまざまなメカニズムに作用して、鎮痛作用をもたらします。
  • 米空軍で鍼治療を最初に始めた医師、リチャード・ニエムゾー博士です。2001年に、耳の5つのツボを使って痛みを緩和するという「Battlefield Acupuncture(戦場鍼治療:BFA)」と呼ばれる方法を発表し、世界的に注目されました。
  • 耳には自律神経のひとつである迷走神経が分岐しているのですが、耳を刺激することで、迷走神経をコントロールできる可能性があることが示され、自己免疫疾患などへの新しい治療法の開発が進んでいるのです。
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