【お薦め本の紹介】インフレ不可避の世界

【お薦め本の紹介】インフレ不可避の世界

私が小学1年生の頃、お年玉を銀行に預けると10年で倍になったものです。まさに年利7.2%のインフレ時代だったのです。その後は、金利は下がり、デフレ時代が続いています。そのため現在56歳の自分たちより若い人は、インフレ自体を知らないのです。しかし、いよいよインフレがやってきています。そんな時代の指標として、澤上 篤人さんの『インフレ不可避の世界』の一読をお薦めします。

  • この40年ほどは世界のどこにおいても、インフレのイの字もみられなかったからのこと。大半の人がインフレの経験もないし、インフレが人々の生活や経済をどれだけ痛めつけるか、想像すらできない
  • いつのバブル崩壊でも、巨額の投資損や評価損が発生し、不良債権の山を築く。同時に、あれほどのカネ余りが、ウソだったかのような現金不足が経済の現場を襲う。それが、深刻な信用収縮と金利の急上昇という事態をまねく
  • そうなると、ゼロに近い金利コストをいいことに、国債を大量発行してきた先進各国の財政運営は、たちまち窮地に陥る。いくら政策的に金利をゼロ同然に抑え込もうとしたところで、債券市場の大崩れで長期金利が急騰するのには抗えない
  • 日銀が目指してきたのは、景気回復つまり経済活動の活発化で、需要が高まっての物価上昇。いま、日本そして世界全体に押し寄せてきているのは、供給サイドからの物価上昇圧力であるコストプッシュ・インフレ。
  • コストプッシュ・インフレは需要サイドの都合など、お構いなしである。景気動向や消費者サイドの購買力がどうであろうと、そんなもの無視して高いコストを押しつけてくる
  • インフレが進行すれば、サービス産業全般で従事者の賃金も上がっていくことになる。つまり、サービス産業全般からのコストアップ圧力だ。
  • 通常は、中央銀行のバランスシートつまり総資産の規模は、その国のGDPに対し、10%台にある。それなのに、米国の中央銀行であるFRBのバランスシートは、米国のGDPの40%近くにまで膨れ上がっている。ヨーロッパ中央銀行では、EU全体のGDPの60%にまでバランスシートを
  • では、日銀はどうか? なんと、日本のGDPの130%となっている。日銀の財務規模は日本経済の1・3倍にも巨大化しているのだ。日本国民1億2600万人余が1年間働いて築き上げる富の1・3倍もの財務を抱え込んでいる
  • 日銀の株式ETF保有は直近で36兆円に上る(簿価ベース)。こちらは、国債のような満期償還はない。なんらかの方法で売却しない限り、いつまでも日銀の資産として残る
  • なによりも、日本最大の株主となっている日銀だ。ほんのちょっとでも売り意向を表明しただけで、株式市場が暴落する
  • そもそもからして、中央銀行が株式保有に走るなんて、およそ考えられない
  • 日本株市場に参加する投資家も、日々でき上がっていく株価も温室育ちみたいなもの。日銀の株式ETF買いという温室で育てられてきた、ひ弱な投資家たちや株価ばかりだ。日銀としては、ますます株式ETFを売れなくなって
  • 95年末当時、家計の預貯金残高は534兆円あった(日銀統計)。その預金から得られる利子収入は年間で10~21兆円だったものが、5000億円に、そして500億円へと激減させられていった。これでは個人消費が大きく落ち込んで当然
  • 金利が1%上昇するだけで、国には3・7兆円の利払い負担が発生するという。それでなくても、 26兆円もの国債費を予算計上しているのだ。そこへ、3・7兆円とか2%の上昇で7・4兆円もの金利コストが上乗せされる
  • 住宅ローンの68%は変動金利の契約
  • 大きく目減りした国債と、売るに売れない株式ETFを大量に抱え込んだ日銀の後処理には、相当な時間がかかる。  そんなものを待ってはおれない。もしかしたら、いまの日銀とは別で新たに中央銀行を創設する動きも出てくるかも
  • 将来への夢や想い、そして意思がともなわない投資は、単なるカネ儲け(銭ゲバ)
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