定期的に喜多川泰の本は手にしたくなります。2022年9月に発売された「よくがんばりました。」も、本当に一気読みでした。読んだ後には、読書をする習慣を持っていて良かったと心から感謝しました。まさに「心の温泉タイム」としてお薦めです。本の中には、素敵な言葉がちりばめられています。一部ご紹介します。
- 通勤電車のなかの読書は嘉人にとって「心の温泉タイム」
- 問題児と呼ばれる生徒はこれまでもたくさん見てきた。時代に合わせてその問題も変わり続けてはいるが、中学生というのはぶつかり合って、傷つけあって、お互い角が取れて丸くなっていく時期
- 相手がどのような態度で、どんな行動を取ろうとも、それだけで相手のことを決めつけず、必ず違った一面があるという信念を持って接するようになった
- そんな調子だから、普段は意見が合わない年上の人や上司に対しても、いいところがあるはずだという見方をついついしてしまう
- 『新しい人生を授ける救いの神だ』って夫は伝えたのですが、哲治さんは『わしはそんなええ人間じゃないけん、昔のお前さんをやっつけた殺し屋でええ』と
- あなたにとっていいお父さんではなかったのかもしれないけど、少なくとも私や私の夫にとっては恩人でした
- 周りの人はいつも言葉だけは優しいの。
- 私は誰かに対して『可哀想ね』って言うのをやめたの。その言葉が、相手を可哀想の殻のなかに閉じ込めてしまう
- 処分を頼まれて持ち込まれた本のなかから、時代を超えて大切なことを伝えている本を見つけては、お客さんに渡して旅をさせていた
- 明らかにするっていうのは、強い光を当てて、子どものアラを白日の下に 晒すという意味ではない。月明かりの下で見るように、その子の美しさを全体として捉える
- 祭りがなければ、窮屈で死んでしまう。人生には祭りが必要
- 人間なんてみんな生きてるだけで、誰かに迷惑かけるじゃろ。特に、家族なんて迷惑のかけ通しや
- 迷惑かけたらいかんのんじゃなく、思い切って迷惑かけてええ。それが家族ってもんじゃ。そのことを教えてやりたいんよ。だって、そうやってビクビク生きてても楽しないだろ
- 人間の心は影のようなものじゃないかと思うの。光を当てる方向が変わるとできる影も瞬時に変化する
- 人の性格なんて、周りの人の価値観という光をその人に当てて見えた投影図でしかないということ
- 「本体ではないのに。にもかかわらず、その投影図がどう見えるかばかり気にして生きるのは確かに馬鹿げているし、滑稽です
- 「もう少しがんばりましょう」とは言えない。「よくできました」も言えない
- 「よくがんばりました」いつか自分も人生を終えるときに、誰かが、誰でもいい、たった一人でもいいから、自分に対してそう言ってくれたら、自分の人生は報われるんじゃないか。
- グラスに水が入っている。そこに石が投げ込まれる。そうすると器が壊れて、水が溢れてしまう。洗面器に同じ石が投げ込まれると水が溢れる。お風呂の浴槽なら波が立つ。大きな池なら波紋が広がり、海なら何の影響も感じられないかもしれない。やってきた状況は『望んでいない石が急に投げ込まれる』というものなんですがね、まったく同じことが起こっても、器の大きさで、それがすべてを壊してしまうほどの大ごとになるか、何の影響もないかが決まる。要はこちら側の心の器の問題
- なかなか捨てられない執着というのは、それだけ、自分の人生をかけて大切にしてきたものだったんじゃないか
- 無理に捨てようとする前に、言ってあげるべき言葉は、『よくがんばったね』、だと思います