新型コロナウイルスの感染拡大で外出規制や在宅勤務が広がることで、ビデオ会議システムが否応なく広がっています。普及に伴い、多くの方がそのメリットを享受し、働き方の改革につながっているのではないでしょうか? しかし、その中でも、まだ利用に躊躇していたり、十分活用できていない方もいらっしゃいます。実は、「新しいことにチャレンジしない」、「言い訳をしてそのメリットを実感できない」のは、脳の衰えかもしれません。
今回の記事では、IT苦手の認知症専門医長谷川嘉哉が、ビデオ会議を使いこなすことが認知症予防につながる理由を解説します。
目次
1.ビデオ会議とは?
若い人にとっては当たり前かもしれませんが、ビデオ会議とは、複数の遠隔地を結んで双方向の画像および音声による会議を行うことです。
1-1.代表はZOOM
パソコンやスマホを使用するビデオ会議システムです。ソフトをインストールしたほうが快適に使用できますが、インストールしなくても会議をするだけなら使うことができます。使用に際しては主催者がオンライン上の会議部屋を設定し、参加者のそのアドレスをメールやメッセージ等で告知。開催時間になったら全員その部屋に参加し、カメラとマイクを使用して話すというものです。
1年前にはZoomという言葉もあまりなじみがありませんでした。コロナ禍が問題となってから急激に市民権を得た言葉です。今となっては、「Zoomって何?」と聞くこともはばかられます。
1-2.Zoom 以外も台頭
ビデオ会議イコールZoom ではありません。当初は、Zoom の一人勝ちでしたが、最近では、Facebook、Google、Microsoft等各社からもビデオ会議システムが出ています。また、安全性(情報漏洩リスク)の問題から、Zoomが禁止の会社もあるようです。私が出版の打ち合わせをしている某出版社も、Zoom は使えません。
1-3.そんなZoom 株を売却した理由
全くの個人的な話ですが、当初は、「Zoom の一人勝ちで、株価も天井知らず?」と思い、118ドルで購入しました。しかし、安全性や他の会社の台頭から、152ドルで売却しました。Zoomを新しい仕組みとして利用するだけでなく、株式市況での評価にまで思いを巡らすことは、脳的にもとても好ましいことだと思っています。
2.どんな時に利用?
私は、以下のようなときにビデオ会議を使っています。
2-1.コンサルティング
現在、私は10名のクライアントさんに医療コンサルティングを行っています。診療の合間を使って、九州、大阪、東京へ出張をしていました。しかし、最近では全員に対して、ビデオ会議で対面と遜色ないコンサルティングが行うことができています。
2-2.出版の打ち合わせ
出版社の方との打ち合わせは、常に東京の品川オフィスで行っていました。打ち合わせは、長時間に及ぶこともあるため、当初は対面しか難しいと考えていましたが、実際に行ってみると、全く問題はありません。
2-3.税理士さんとの打ち合わせ
私は、毎月4名の税理士さんと、朝の8時から打ち合わせをしていました。この打合せがすべてビデオ会議になりました。いつもクリニックに訪問いただいていたので、税理士さんたちの移動の負担は軽くなっているようです。それ以上に、打ち合わせの後で振り返ると、「会って話をしていた記憶」として残っているから不思議です。
3.時間・交通費の節約
ビデオ会議によって、明らかに移動時間が節約できます。今から思うと、診療が終わってから、名古屋駅に向かって新幹線に慌てて乗っていた時代が嘘の様です。
時間の節約は、隙間時間の有効利用にもつながります。外来を終えて自宅に帰って食事をしてから、山口県のクライアントの後に、東京のクライアントとのコンサルティング。対面ではありえない時間の有効利用です。
もちろん、実際に出張しないわけですから、交通費やそれに伴う食事代も不要になります。当面の課題は、いつまで東京の事務所を借りるているか、になっています。多くの方がこのように考えて実行すると、東京の不動産物件の暴落につながるかもしれません。
4.時間・交通費以外のメリット
時間や交通費以外にもメリットがあります。
4-1.全員参加型になる
3〜4名で対面で打合せをしていると、会話をする方としない方に分かれてしまいます。ビデオ会議では、常に参加者全員の顔を見ていることになります。そうなると、あまり会話をしない方に、自然に話を振るようになります。結果、バランス感覚により全員参加の打ち合わせができるのです。
4-2.相手を気にせずにパソコンが打てる
打合せの際には、パソコンでメモをします。しかし、対面だとあまりパソコンに集中しづらいものです。それこそ、参加者全員がパソコンを打ち始めると会話になりません。しかし、ビデオ会議の場合、視線はビデオ画面を見ているので、気兼ねなくパソコンを打つことができます。結果、打ち合わせ終了後にはまとめが完成しているので、効率的です。
4-3.参加できなかったセミナーに参加できる
セミナーによっては、平日の昼間のものも結構あります。開業医としては絶対に参加できないものです。しかし、最近ではズームセミナーが増えてきており、訪問診療終了後から夕診前の時間に参加することが可能になりました。新型コロナウイルスに伴う融資のセミナーなどは、タイムリーでとても勉強になったものです。
5.なぜかビデオ会議を嫌がる人の特徴
こんな優れたビデオ会議ですが、利用を拒む方が一定数いらっしゃいます。
5-1.デメリットを探す
新しいことに対して、デメリットを探す癖があるようです。ビデオ会議では、十分に学ぶことができないと思い込んだり、「ズーム疲れ(Zoom fatigue)」という報告があるなど、利用しない理由をさがします。挙句の果ては、根拠なく「対面しないとだめ」といった感情論になってしまうのです。
5-2.そもそも人の話を聞かない
現在、多くの方がビデオ会議のメリットを享受し、利用が広がっています。しかし、そういった話も素直に聞いてくれません。そして、周囲がビデオ会議の参加を促しても、結局利用してくれません。
5-3.ビデオ会議を利用しないは早期認知症に繋がる
新しいことに取り組まない。チャレンジしてみようというやる気が失われている。メリットを説明しても理解できない。さらに、しつこく説明すると怒る。これは、まさに、論理的思考が苦手で、理性がコントロールできない早期認知症の症状そのものなのです。たかがビデオ会議と思わずに、こういった新しいことを利用できなくなってきたら早期認知症の傾向があると思われても仕方ありません。
6.認知症予防のために新しい環境を楽しもう
認知症を予防するには、ビデオ会議による新しい環境を楽しんでみましょう。
6-1.マイクとイヤホンで快適さをアップ
せっかくビデオ会議をするなら、外付けのマイクを使うと相手の方が音を聞きやすくなります。また、イヤホンも使用したほうが、相手の声が聴きやすくなります。私は、以前に購入したBoseのノイズキャンセリングイヤホンを使っています。少し高価ですが、周囲の雑音が完全にシャットアウトされるのでかなり快適です。
*Bose ノイズキャンセリングイヤホン ブラック
6-2.Wi-Fi環境も整備して、映画も楽しもう
セミナーなどで多人数の参加者になると、Wi-Fi環境の差が分かります。環境が悪いと一人だけ画像や音声が悪くなってしまいます。ここは、Wi-Fi環境を可能なかぎり良質なものに変えることをお薦めします。それを使えば、映画を観る際もより快適になります。
6-3.ときには飲み会も
ビデオ会議は、仕事だけでなく友人との懇談にも使えます。セミナーによっては、オンラインセミナー後にzoom懇親会、さらにはzoomクラス会など、用途は広がっています。新しいことに気楽に挑戦する柔らかい頭を持っていたいものです。
7.もうコロナ前には戻らない、と思おう
頭の固い人の中には、コロナ禍が治まれば、以前に戻ると考えている人がいます。しかしビデオ会議は、より快適になることはあっても、以前の対面中心に戻ることはないと思います。私は、コンサルティングも、打ち合わせも、セミナーも可能なものはビデオ会議を続けます。つまり、現在ビデオ会議に乗り遅れることは、時代に取り残されること、ひいては早期認知症まっしぐらだと思えるのです。
8.まとめ
- コロナ禍により、一気にビデオ会議が普及しています。
- ビデオ会議は、時間・交通費のメリットだけでなく、自然に全員参加型になります。
- ビデオ会議といった新しいことにチャレンジできないことは、早期認知症につながります。