2022年4月から高校家庭科で「資産形成」の授業が始まります。いよいよ国も「資産形成」の重要性を多くの国民に伝えることに本腰を入れたようにみえます。しかし、FP資格をもつ専門医からすると、注意をしないと「手数料ハンター」にカモられる真面目な人が増える恐れがあるのです。今回の記事では、長谷川家で子供たちに教えている、本当の「資産形成」についてご紹介します。
目次
1.手数料ハンターに騙されない
私は認知症専門外来で、必ずお伺いする質問があります。「騙されてお金を減らしてしまったことはありませんか?」です。一般的には、悪徳訪問販売員やオレオレ詐欺などをイメージするかもしれませんが、私の質問には、銀行員・証券会社の営業マン・保険販売員も含まれています。
ちなみに、銀行員・証券会社の営業マン・保険販売員は、知らないうちに手数料を払わせてしまう「手数料ハンター」と言われています。手数料ハンターによる被害も含めると、本当に多くの被害者がいらっしゃるのです。
2.銀行の窓口は100%ぼったくり商品
私の父親は元銀行員です。その父親の言葉が、「銀行員が薦める金融商品は絶対に買ってはいけない!」です。父親曰く、「銀行員は、自分の成績だけ考え、お客さんのことなんか考えていない!」とのことです。元銀行員の言葉ですから真実味があります。以下に理由をご紹介します。
2-1.手数料が高いから仲介する
銀行が金融商品を勧めるのは手数料を稼ぐためです。したがって、本当にお客さんのためになる「手数料が少ない商品」は販売しても銀行の儲けがありません。自分の経験でも銀行員から勧められた商品は、「100%」、ろくでもない商品です。
2-2.新聞に広告される商品はとくにダメ
新聞で広告されている金融商品は、その中でも選りすぐりで購入してはいけない商品です。とくに投資信託では購入時に3%ほどの手数料をとられ、その後も毎年2%近い信託報酬が取られてしまう商品が、堂々と新聞で広告されています。日本経済新聞で広告されている商品については以下の記事も参考になさってください
3-2.銀行員自らの知識も低い
私が金融機関の担当者と話をしていると、「上層部から積極的に投資信託を売るように言われている」とのこと。しかし、話をしていても担当者の金融商品の知識はあまりにも低い。そんな人間が高齢者を中心とする顧客に投資信託を売りつけると思うと、あきれ、不安、怒りがこみ上げてくるほどです。
3.証券会社の窓口に行ってはいけない
学校の授業では、「証券会社の窓口には絶対に行ってはいけない!」と教育してほしいものです。
3-1.飛んで火に入る夏の虫
今の時代、円安、インフレが忍び寄っており、銀行預金だけでは財産が目減りしています。だから証券会社で投資をしようと思っても、絶対に!絶対に!絶対に!証券会社の窓口に行ってはいけません。これこそ、「飛んで火に入る夏の虫」で格好の餌食にされてしまいます。
3-2.本当に、投資は自己責任?
立派な建物があり、数多くの営業マンがいる窓口を持つ証券会社が利益を得るには、お客さんから手数料をふんだくるしかないのです。その結果、お客さんが損をしてもその時は、「投資は自己責任」と言えば、許されていしまいます。証券会社の悪行については、『野村證券第2事業法人部』の一読をお薦めします。2022年3月24日に大手証券会社SMBC日興証券をめぐる相場操縦事件で逮捕者が出ています。証券会社の体質は、基本的には変わりません。
3-3.証券会社はネット証券がおすすめ
これからの時代、個人が証券会社に口座を持つことは必須です。しかし、この場合は、楽天証券やSBI証券といったネット証券がお薦めです。利便性に優れており、手数料の安い優れた商品が購入できます。何よりも、営業マンとかかわることなく投資できることが第一です。利用方法に不安があれば、ユーチューブ等で検索すれば山のように情報が手に入ります。自ら情報を得て、自ら投資することが何よりの教育になるのです。
4.保険で資産形成をしてはいけない
日本人は、保険好きです。多くの方が、社会人になると保険に加入しなければいけないとさえ思っているようです。しかし特に気を付けないといけないのは、「保険に加入しながら貯蓄にもなります」という、保険営業マンの言葉です。
実は、貯蓄性のある保険は、生命保険に「手数料の高い金融商品」を組み合わせたものです。生命保険という商品に、巧妙に隠している点が悪質です。子供たちに伝えることとしては、保険で資産形成はしてはいけない、です。
そのためには、保険は最低限の掛け捨て商品にして、資産形成はみずからネット証券で行うことが正しいのです。もちろん、保険営業マンからすると手数料が減るのでとても嫌がりますが・・
5.中途半端な授業が心配
私が高校での授業で心配するのは「誰が授業をするか?」です。投資もしたことがない先生ができるのでしょうか? 場合によっては、専門家に外部委託するのでしょうか? いずれにせよ、中途半端に「投資が大切」と知ってしまった生徒が、将来の手数料ハンターの格好の餌になることを恐れます。
しかし、「銀行員・証券会社の営業マン・保険販売員」の親御さんは相当数いらっしゃいますから、正しい授業は無理なのかもしれません。やはり、「資産形成」教育は家庭で行うしかないようです。
6.まとめ
- 2022年4月から高校家庭科で「資産形成」の授業が始まります。
- 子供たちに最初に教えておくことは、銀行の進める商品は100%ぼったくり商品、証券会社の窓口には行ってはいけないこと、保険で資産形成してはいけないことです。
- 本当の情報はとても高校では伝えられませんので、家庭での教育が重要となります。