今の時代、結婚の有無、子供の有無、どれも個々の問題です。他人がとやかく言うものではありません。しかし、毎月約1000名の認知症患者さんを診ている者からすると、家族は大事です。何しろ認知症患者さんは、一人で受診することはできません。そのため当院に来院すると、待合室の人の多さに圧倒されます。しかし、待ち時間はそれほどでなく、診察が受けられます。確かに完全予約制であることも一因ですが、平均2-3人の付添いの方がいることが主たる要因です。
通常、配偶者・子供さんが付き添われることが殆どです。但し、配偶者さんは、亡くなっているケースもかなりあります。また難しい病気や予想される経過の説明には、高齢である配偶者では困難な事もあります。そんな時には子供さんが頼りになります。しっかりした娘さんや冷静な息子さんが付き添われると、こちらも安心できるものです。
ならば、未婚で子供さんのいないケースはどうするか?通常、このケースでは当てになるのは、ご兄弟です。しかし、高齢になれば当てになりません。若いうちは友達同士で助け合おう言っていても、年を取れば自分のことで手いっぱいです。そうなると、甥や姪が頼りです。といっても忙しい世代である甥や姪にあまり頼ることもできません。
ならば何が当てになるか?はっきり言えば、“お金”です。家族がいなければ、お金で介護力を補うことができます。具体的には、地方都市であれば月額20万円あれば何とでもなります。逆に、大都市で国民年金だけであれば、対応は不可能です。どんな人生を歩んでも自由ですが、資本主義であるこの国で、最後まで”生き切る“にはお金も必要なのです。