令和5年4月に私の娘が22歳で奇異性脳塞栓になり救急入院をしました。東京女子医大の先生方の適切な治療で血栓除去術をおこなうも、脳幹の橋の梗塞巣により左片麻痺になりました。
その後回復リハビリテーション病院でリハビリを行い、現在では麻痺も殆ど認めません。見た目も正常で、先日もディズニーランドで25,000歩も歩けました。このような驚異の回復ができたのは通常の治療に加え、急性期から行った水素吸入療法が功を奏したと思っています。
今回の記事では、34年間の臨床経験を持つ脳神経内科専門医の長谷川嘉哉が、脳塞栓急性期に娘に行った水素吸入療法の意味と効果について解説します。なお、娘の病態、急性期治療、リハビリについては以下の記事も参考になさってください。
目次
1.最も大事な治療は、急性期治療とリハビリと本人の努力
水素吸入の話はあくまでも、脳塞栓に対する急性期治療を東京女子医大脳神経内科の先生方が完璧に行ってくれ、その後、回復期リハビリ病院の初台リハビリテーション病院で国内でも最高のリハビリが行われたことが前提です。そして22歳の娘はその治療とリハビリを懸命に受けてくれたことが今回の改善につながったのです。治療のリハビリの詳細については以下の記事も参考になさってください。
2.努力だけでは何ともならないことも多い
認知症専門医の経験から、MRI画像と本人の状況からどれだけ素晴らしい治療をしても、リハビリを頑張っても回復に限界があることは分かります。正直、娘の場合も、正常の80%の回復、場合によっては反対側の麻痺も残る覚悟をしました。
実際、初台リハビリテーション病院の担当医も入院時に「80%の回復を目指しましょう」と言われ、決して「完全回復を目指しましょう」とは言われませんでした。私の妻や他の娘たちはその言葉の意味することに気が付かなかったようですが、専門医としては、「家族として100%の回復を期待してはいけない」ことが伝わりました。
3.水素吸入療法が生存率を上げ、後遺症を減らす
実は私自身、健康目的で水素吸入を行っておりその効果を実感していました。そんな中2023年3月に慶応大学が「水素吸入療法が院外心停止患者の救命および予後の改善に効果」という論文で、90日後の生存率が、従来の治療の61%から、水素吸入療法により85%に上昇、また、後遺症なく回復した人の割合も21%から46%に上昇することが統計学的に確かめられました。
このことを知っていたため、娘が東京女子医大に入院してからすぐに、水素吸入療法を通常の治療に加えてもらい、さらに初台リハビリテーション病院への転院後も継続してもらいました。
4.水素水でなく水素吸入療法
水素吸入療法は飲む水素水でなく、医療機器としての水素発生器からカニューレで鼻で吸入します。医師の中には、知識のない方もいらっしゃいますが、水素吸入療法の効果は、本当に多くの論文が出ています。水素吸入の効果の代表的なものを紹介します。
- 活性酸素の除去作用
- 抗炎症作用
- 血流促進作用
- 副交感神経を優位にする作用
- 抗アレルギー作用
- 免疫力を高める作用
- 抗がん作用
- 疲労回復作用(筋肉中の乳酸生成を減少させる)
- 創傷治癒を促す作用
特に娘の場合は、脳底動脈が閉塞してその先の組織への血流が低下。それに伴い組織からは活性酸素が大量に産生されていたわけです。それに対して、水素吸入による活性酸素の除去作用、血流促進作用が効果的であったと思います。
さらに入院中、一貫して睡眠が確保されていたことは、副交感神経優位にする働きであったかもしれません。いずれにせよ本来80%の回復が限界と思われた、残りの20%については水素療法の効果と考えられます。なお活性酸素については以下の記事も参考になさってください。
5.水素吸入療法が効果的な疾患
水素吸入療法は以下の疾患に有効と考えられます。
- 脳梗塞、心筋梗塞による心肺停止後の蘇生時や、臓器移植の際のドナー臓器の 虚血 再 灌 流 障害(血流が一度停止した後に再び血流を再開したときの障害)
- パーキンソン病やアルツハイマー型認知症などの神経が障害を受ける脳変性疾患
- 慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患
- 喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患
- 肺炎、歯周病、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患
- メタボリック症候群、糖尿病、動脈硬化、脂質代謝異常、高血圧、肥満症などの生活習慣病
他にも水素は、抗がん剤の副作用軽減、放射線障害の抑制、血液透析による障害の軽減、骨粗鬆症、筋疾患、老化や薬剤による難聴、火傷、床ずれの改善、白斑症、新型コロナウイルス肺炎、そして病気ではありませんが老化の抑制(アンチエイジング)などにも効果があることが示されています。
あまりに多くの疾患に効果があるため、逆に疑われる方もいらっしゃいますが、人間が罹患する疾患の90%が活性酸素が原因と言われています。水素吸入療法は病気の根本である活性酸素を除去するわけですから当たり前ともいえるのです。
6.娘の経験を他の患者さんにも
医療法人ブレイングループでは、外来で30分程度の水素吸入を行い、効果を感じられた患者さんには自宅での導入を勧める予定です。具体的には
- 認知症患者さん・・アルツハイマーおよび血管性認知症
- パーキンソン患者さん
- 脳血管障害後遺症の患者さん
- 癌の治療中・治療後の患者さん
- 慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患の患者さん
- 原因不明で体調不良の患者さん
- アンチエイジング希望の方
7.信頼される業者を選ぼう
なお、水素吸入機については安いものはネットでも購入できます。しかし、その水素発生量は少なすぎたり、本当に水素が発生しているのか疑問のものもあります。また、それなりの業者でないと、東京女子医大のような病院への搬入もお願いできません。
私自身は、株式会社ヘリックスジャパンさんにお願いしています。関心のある方は、以下のサイトから問い合わせてください。「長谷川のブログをみた」と言っていただければ話はスムーズになります。
8.まとめ
- 脳塞栓による左片麻痺になった娘の回復は、東京女子医大および初台リハビリテーション病院による治療とリハビリとそして本人の努力によります。
- しかし、それに加え水素吸入療法も一定の効果があったと思われます。
- 人間が罹患する疾患の90%が活性酸素による酸化が原因と言われています。水素吸入療法はその活性酸素を除去するのです。