心筋梗塞予防のために「心臓ドック」を専門医がお薦めする理由

心筋梗塞予防のために「心臓ドック」を専門医がお薦めする理由

令和3年2月、私が長年お世話になった経営コンサルタントの先生が、心筋梗塞で62歳の若さで急逝されました。ほんの数日前まではお元気でありながらの突然の最後でした。このように突然発症する心筋梗塞は、出来れば予防したいものです。今回の記事では、総合内科専門医の長谷川嘉哉が、自分自身も体験した心臓ドックによる心筋梗塞の予防方法についてご紹介します。

目次

1.突然起こる心筋梗塞の特徴は

心筋梗塞は、突然心臓の冠動脈が詰まることで、以下のような特徴で発症します。

1-1.激しい胸の痛み

突然、激しい胸の痛みがおこります。脂汗が出て、胸が締め付けられるような圧迫感も伴います。人によっては、背中が痛んだり、左肩から左腕に痛みが広がる方もいらっしゃいます。

1-2.前兆があることが多い

心筋梗塞は、突然起こりますが、発症1~2か月前に前兆があることがあります。心臓の冠動脈が詰まりかけることで前兆が生じます。完全に詰まることなく、再開通すると症状は改善してしまいます。そのため、「何となく胸が重い」、「何となく胸がしめつけられる」という症状が起こっても改善してしまうため、放置してしまうのです。

このような症状が改善しても、前兆があれば放置してはいけません。この段階で、医療機関に受診をしないと、心臓の冠動脈が完全に詰まり、心筋梗塞が起こります。そうすると突然死になることもあるのです。

2.心筋梗塞を起こしやすい人とは

以下に当てはまる方は、心筋梗塞になる可能性が高くなりますので注意が必要です。

  • 高血圧・脂質代謝異常・糖尿病がある人
  • ご家族に、心臓疾患・脳血管障害の既往歴がある方
  • 喫煙をされる方(以前に喫煙歴がある方)
  • アルコールを飲むことが多い方
  • 仕事が忙しく、睡眠不足気味の方
  • 動悸・息切れ・胸部不快感・胸部痛といった自覚症状のある方

3.通常の検診では分からない

毎年、検診を受けているから心筋梗塞は大丈夫とは言えません。検診では、採血、心電図、胸部XPを行います。これらがすべて異常がなくても、心筋梗塞が全く起こらないとは言い切れません。異常がないと言われた検診直後に、心筋梗塞を発症することさえあるのです。

つまり心筋梗塞の診断は、発症してから診断されることが大部分で、前もって診断することは大変難しいのです。

4.お薦めは心臓専門の「心臓ドック」

心臓ドックでは、検診では行われない心臓の血管の状態をMRAで見ることなどができます(写真はイメージ)

通常の検診では診断できない心筋梗塞を予防するためには、心臓ドックがお薦めです。心筋梗塞は、心臓の冠動脈の狭窄をチェックすることで予防することができます。しかし、心臓の血管を検診としておこなっている施設は多くありません。そこで、私は、東京の心臓画像クリニック飯田橋を探し、受診してきました。

その中のプレミアムドックは、174,000円と高額でしたが、約3時間30分で、採血、動脈硬化判定、心電図、心エコー、内臓脂肪、頸部エコー、頭部MRIとMRA、低被爆CTによる冠動脈石灰化スコア測定、心臓MRIとMRAがすべて行われ、結果も同日中に説明を受ける事ができます。


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特に、心臓のMRAでは、造影剤も使わず、X線の被爆をすることなく、冠動脈の血管がとても奇麗に描出されます。仮に、冠動脈が狭窄していれば、さらに精査・治療を行うことで心筋梗塞を予防します。費用は高いですが、突然死のリスクを減らすことができれば費用対効果はあると思われます。

心臓画像クリニック飯田橋のホームページは以下からご覧ください。

5.生活習慣が大事

検診だけでなく、生活習慣の改善も重要です。

5-1.禁煙

私は、心筋梗塞を診察する循環器内科の医師で、喫煙をする人に会ったことがありません。喫煙は、吸わない人に比べて、男性で4倍、女性で3倍高くなると言われています。これほど、喫煙は心筋梗塞のリスクを高めるのです。

5-2.生活習慣病のコントロール

高血圧・脂質代謝異常・糖尿病といった生活習慣病は、動脈硬化性変化を引き起こすことで心筋梗塞のリスクが高まります。食事を気をつけて、必要なときは、薬物治療を行うことも必要です。

5-3.運動が大事

運動不足は、動脈硬化の悪化を応援するようなものです。適度な運動を取り入れることは、血管を健康な状態に保ち動脈硬化の悪化を防ぎます。

6.まとめ

  • 心筋梗塞は突然死の原因となりますが、通常の検診では診断は困難です。
  • 心筋梗塞を予防するには、心臓ドックにて心臓MRA等を行う必要があります。
  • ただし、検診以上に生活習慣の改善も必要です。
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