四十九日法要・五十日祭が人生最大のストレスを軽減する理由

四十九日法要・五十日祭が人生最大のストレスを軽減する理由

高齢の患者さんが、配偶者を亡くすと、元気がなくなったり、活動性が一気に落ちてしまう方がいらっしゃいます。時に、認知症を発症してしまう方さえいるのです。

周囲からすると、仲が良かった夫婦だけでなく、喧嘩ばかりしていた夫婦でも見られるので、不思議なものです。それほどまでに、配偶者の死は大きなストレスなのです。

そんな配偶者を亡くした方も、不思議と時間が解決してくれます。日本には、そんな一助として、とても良い風習として、四十九日法要・五十日祭があります。今回は、人生最大のストレスを克服する方法を解説します。

1.ストレスランキング1位は、配偶者の死

一概にストレスと言っても評価は難しいものです。医療の現場では、1968年にアメリカ ワシントン大学のHolmes(ホームズ)らが開発した、社会的再適応評価尺度をストレスのランキングとして参考にすることがあります。以下に代表的なイベントの順位とストレス値をご紹介します。

順位 出来事 ストレス度
1 配偶者の死 100
2 離婚 73
3 夫婦での別居 65
4 拘留・刑務所入り 63
5 親密な家族の死亡 63
6 自分の病気あるいは傷害 53
7 結婚 50
8 解雇 47
9 夫婦の和解調停 45
10 退職 45

2.四十九日法要や五十日祭とは?

ストレスランキングからわかるように、配偶者の死は残されたものには大変なストレスとなります。外来でも、多くの患者さんに何らかの変化が見られます。しかし、不思議と亡くなってから1か月を過ぎると落ち着いてくるものです。まるでその時期に合わせるように、日本には以下のような習慣があります。

2-1.四十九日

四十九日とは仏教の言葉で、命日から49日目に行う法要を指します。49日の意味は、「仏教では人が亡くなるとあの世で7日ごとに極楽浄土に行けるか否かの裁判が行われ、最終判決の日が49日目になるため」です。そのため四十九日法要では、故人のあの世での幸せを願って家族・親戚・友人が集まり、お経をあげてもらってから会食などを行います。

2-2.五十日祭

五十日祭とは、仏教の四十九日にあたる神式の法事です。神道では、亡くなった人の魂は、家と遺族を守る守護神となるとされています。一連の儀式は故人を守護神として定め祀ることが目的となります。神式では、「葬場祭」と呼ばれる葬儀後、十日ごとに「霊祭(れいさい)という法事を行い、五十日祭で忌明けとなります。

2-3.仏式と神式の違い

仏式では、故人の御霊を四十九日かけて仏となるため極楽浄土へ送りだすのに対し、神式では、五十日祭を通じて家庭を守る守護神として自宅の祖霊舎(神棚)に迎え入れます。

3.四十九日法要・五十日祭までの周囲の対応が大事

配偶者をなくした方への対応は注意が必要です。一見元気そうでも、それは気が張っている緊張状態によるものです。周囲の方が、気を付けてあげないと、「うつ」になったり、「認知症」を発症することさえあります。

周囲の方は、事あるごとに集まって、賑やかにしてあげることが大事です。そのためにも仏教や神道の行事はお薦めなのです。これも、先人の知恵なのかもしれません。

そして、いよいよ四十九日法要・五十日祭が終わると、不思議と故人を亡くしたストレスから徐々に立ち直っていくようです。まさに、「日にち薬」と言えるのです。


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*「日にち薬」:関西でよく使われる言葉。日数を重ねてじっと養生していれば病気やけがが自然によくなってくる意味

4.命日から数カ月たっておかしいと感じたら?

認知症専門医としては、注意をしてほしいことがあります。それは、もともと認知症があって、配偶者の死をきっかけに症状が急激に進行するケースです。

正常の方であれば、何か症状があっても、日にち薬で改善します。しかし、もともと認知機能障害があった方は、配偶者の死という人生最大のストレスにより症状が進行します。実際に、外来でも配偶者の死をきっかけに認知症が進行するケースはかなりあります。そのため、外来でも必ず、配偶者の有無、そして亡くなっている場合はその時期についても伺うようにしています。

配偶者を亡くした親御さんを持たれている子供さんは、半年程度はその変化に注意をしてあげてください。受診を判断するか否かは、以下の記事も参考になさってください。

5.まとめ

  • 配偶者の死は、ストレスランキング一位です。
  • 四十九日法要・五十日祭が終わると、不思議と故人を亡くしたストレスから徐々に立ち直っていくようです。
  • もともと認知機能障害があった方は、配偶者の死により症状が進行することがあるので注意が必要です。

 

 

 

 

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