40歳を超える頃から、最近記憶力が悪くなったと感じるものです。そんな時、「脳の神経細胞が、加齢により減っているからやむを得ない」と考えがちではないでしょうか? 医学界でも以前からそのように思われていたフシがあります。ところが最近の研究では、「脳のある部位の神経細胞は年をとっても増殖する」ことが分かってきました。この研究はとても勇気づけられるものです。
今回の記事では、月に1,000名の認知症患者さんを診察する専門医の長谷川嘉哉が、研究結果の紹介と日々の生活への活用方法をご紹介します。
目次
1.研究発表の内容は
ハーバード大学医学部PKD Center Visiting Professor の根来秀行 さんが以下のように報道で語っておられました。
“海馬の歯状回を構成する『顆粒細胞』は、脳のニューロンで唯一増殖します。歯状回の顆粒細胞の新陳代謝は年齢に関係なく旺盛で、次々に生まれ、次々に死んでいき、3~4カ月もあれば全ての顆粒細胞が新しく入れ替わります(Ming & Song, Annual Review of Neuroscience, 2005; Zhao et al., Cell, 2008)。つまり、歯状回の細胞が多いと、海馬に入ることができる情報の容量が増え、記憶力がよくなるのです。最近の研究では、歯状回での新しいニューロンが、多くの異なった事柄や新旧の情報を結びつけ、連想を助けている。今後は、認知症の治療として、顆粒細胞の移植治療が期待されています。(出典:Happy Pus ONE 「記憶を司る海馬の神経細胞を増やすには?」)
2.歯状回の顆粒細胞とは?
海馬?歯状回?顆粒球? 耳慣れない言葉が多く出てきたと思います。これらについて少し整理をします。
2-1.海馬とは?
海馬とは、大脳の奥深くに存在する大脳辺縁系の一部です。視覚・聴覚・臭覚といった記憶の元になる情報は海馬に集められます。その中で、大脳皮質が必要と判断した必要な情報は、海馬によって大脳皮質で永久保存されます。
2-2.歯状回とは?
歯状回とは、海馬の一部であり、海馬に集められる情報の入り口と考えられています。
2-3.顆粒細胞とは?
歯状回は、顆粒細胞で構成されています。その顆粒細胞は、生涯にわたって新しい神経細胞が生まれることが知られているのです。
3.顆粒細胞の新生を妨げるものとは
生涯にわたって増殖する能力(=新生)をもつ顆粒細胞ですが、その働きを阻害する生活習慣が報告されています。ご紹介します。
- 柔らかいものばかりを食べる
- 孤独に過ごす
- 心身へのストレス
- 過度な飲酒
認知症専門外来をやっていても、どれも納得の原因です。これらの生活習慣が、顆粒細胞の新生を妨げることが認知症の一因と考えられます。
4.認知症を防ぐ!顆粒細胞を増やす方法
逆に、顆粒細胞を増やす方法も報告されています。
顆粒細胞の増殖率を上げるためには、運動によって顆粒細胞が新生することが明らかになっています。定期的に行える、心拍数と血流を上げる運動です。ただし、激しい運動は活性酸素を発生させてしまうので、かえって脳にダメージを与え逆効果。1日5分の筋トレプラス15~30分のウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動でOKです
やはり、適度な運動が健康に良いとされているのは、顆粒細胞の点からも明らかなようです。
5.ブレイングボード®もお薦め
顆粒細胞を増やすには、「1日5分の筋トレプラス15~30分のウォーキング」が有効と報告されています。しかし、日常生活でこれらの運動を行うことは難しいものです。
そんな方には、ブレインググループが開発したブレイングボード®もお薦めです。ブレイングボード®は、「有酸素運動」「筋力トレーニング」「柔軟性向上」「バランス性向上」の4つの運動がわずか5分でできてしまいます。特に、有酸素呼吸運動だけでなく、筋力や柔軟性・バランスを改善することで運動効果を高めますのでお勧めです。
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6.まとめ
- 脳の記憶を司る海馬の一部の歯状回は顆粒細胞で構成されている。
- 顆粒細胞は、生涯にわたって新しい神経細胞が生まれることが分かっています。
- そんな顆粒細胞を増やすには、運動が効果的であることが報告されています。