年を取ると年金の話ばかりするようになると言います。全くその通りで58歳になって同僚の59歳の橋本先生とのお昼の話題でも年金の話が増えてきています。先日、我々の世代は学生時代に国民年金の加入義務がなかったため60歳でも40年の満額に到達しないことに気が付きました。ならばどうすれば良いのか?という疑問に対して、ネットで調べても、社会保険事務所に聞いてもなかなか情報が得られません。幸い顧問労務士さんが丁寧教えてくれたので、ご紹介します。
目次
1.どんな人が国民年金の満額になりにくい?
国民年金が40年になりにくい人は以下の2つのケースが考えられます。
1-1.学生時代の未納
1991年4月から20歳以上の学生にも国民年金の加入が義務付けされました。私は、それ以前に学生ですから国民年金に加入することなく、24歳で医師になって厚生年金加入と同時に国民年金加入となりました。したがって私同様に当時大学生であった現在50歳台以上の方には学生時代に未加入のため60歳時には40年の満額に到達しないのです。逆に、1991年4月以降に20歳であった方は今回の問題は無関係と言えます。
1-2.専業主婦時代の未納
1986年3月以前に専業主婦だった人も要注意です。会社員などが扶養する配偶者を国民年金の加入者とみなす第3号被保険者制度ができたのは1986年4月です。それまでは加入が任意だったため「保険料を払っておらず満額に届かない女性がいらっしゃるのです。
2.60歳以降も国民年金に加入するには条件が!
ならば、60歳以降も学生時代の未納分を加入したくなるものです。この制度が、「任意加入制度」です。この制度で追加で保険料を払うと、65歳から受け取る年金が満額に近づきます。利用できるのは65歳になるまでで、自分で手続きします。しかし「任意加入制度」には以下の条件があります。
- 日本国内に住所がある60歳から65歳
- 保険料の納付月数が480カ月未満
- 老齢基礎年金を繰り上げ受給していない
- 厚生年金に加入していない
3.厚生年金に加入すると国民年金が満額にならない?
私も橋本先生も60歳を超えても仕事を続けます。互いに医療法人の職員ですから、厚生年金は継続します。ということは「任意加入制度」は利用できません。ならば「60歳以降は国民年金分保険料が安くなる?」という質問に対しては、「安くならない」という回答をいただきました。ならば、「60歳以降の保険料は国民年金の掛け金分損ではないか?」という疑問が湧きました。
4.厚生年金の「経過的加算」が補填してくれる
さすがに国です。私が考える程度のことはきちんと制度で決めてくれているようです。厚生年金に加入して働く人は、20歳から60歳までの厚生年金の加入期間が480カ月未満なら、60歳から70歳になるまで厚生年金の「経過的加算」という支給額を増やせるのです。これは任意加入で増える老齢基礎年金に相当する金額です。これを聞いてようやく安堵しました。しかし本当に年金制度は複雑で分かりにくいことがよ~く分かりました。
5.まとめ
- 現在の50歳代の方で学生時代に国民年金の加入義務がなかった人の中には60歳になっても保険料の納付月数が480カ月未満の方がいらっしゃいます
- 60歳で厚生年金に加入しない方は「任意加入制度」で未納分を加入することが可能です。
- 60歳以降のも厚生年金に加入されるかたは国民年金満額にはなりませんが、代わりに厚生年金の「経過的加算」で補填してもらえます。