経営者としては、定期的に稲盛和夫さんと永守重信さんの書籍を読むことは必須です。京都をホームベースとしてグローバルに活躍している二人の生き方を知ると、自身の経営に対しての姿勢が変わります。紹介する名和高司さんの『稲盛と永守 京都発カリスマ経営の本質』は、1冊で同時に二人の話が読めてしまいます。二人の本を読まれた方も多いと思いますが、それぞれを対比することで、新たな視点を感じることができます。お薦めです。
- 盛守経営には、以下の3つの共通点がある。第一に、「志(パーパス)」から出発していること。稲盛はこれを大義と呼び、永守は夢(ドリーム)と呼ぶ。第二に、30 年先、 50 年先といった長期目標を立てるとともに、短期的に結果を出すことにこだわり続けること。 第三に、人の心に火をつけること。稲盛は能力を未来進行形でとらえよと語り、永守はIQよりEQが大切と説く。そして二人が異口同音に強調するのが「情熱・熱意・執念」のパワーだ。
- アメリカ型資本主義の弊害から距離をおき、持続的な成長を実現してきた良質な京都企業は、我々が目指すべき次世代の経営のあり方を示している
- 永守が自ら好んで口にする「脱皮しないヘビは死ぬ」というニーチェの言葉
- 人にもよかれという『大欲』をもって公益を図ること。その利他の精神がめぐりめぐって自分にも利をもたらし、またその利を大きく広げもする
- 経営者の大敵は、驕りや慢心。周囲から指摘してもらうのではなく、自らを律し、戒めるしかない。
- マインドフルネスの中心地が京都である。インドで生まれた禅が、中国を経て日本で洗練され、完成されていった
- ワークハードは、どうやら長生きの秘訣らしい。もちろん、そのためにはワークが楽しくてしかたなくなるほどの高い「思い(ビジョン)」を持ち続け必要がある
- 日本一から世界一を目指し、これをゆるぎないものにするためには、一意専心の精神が大切
- 社員が幸せでない会社が発展できるはずはなく、資本主義のメッカと言われるニューヨーク株式市場に京セラは上場しているが、そのことで批判されたことはない
- 「経営が駄目で傾いている会社にはまだ人材だけは残っています。経営が悪いため士気が落ち、くじけているだけです。そんな企業を買って空気を変え、意識を変え、士気を上げ、立て直すのが私の経営」
- みんなが明るい未来を描けるような話を、わかりやすい言葉で語りかける。それは、リーダーの大事な役割
- 「権限委譲」と「責任委譲」を勘違いしてはいけない。任せないと部下は育たない。しかし任せきってしまうと見えないところで大きな問題を起こす。任せたうえで、十分にケアしなければならない
- フィロソフィがなければ、企業は統合的には動けない。一方、アメーバ経営がなければ、企業は自律的な動きがとれない
- 稲盛は、宇宙には2つの法則があるという。成長発展の法則と調和の法則
- ハードワークすることが間違っているのではなくて、生産性が低いまま、長時間働くことが問題
- 変革のためのアイデアを常に出し続けること。アイデアは出し惜しみしていては、使いものにならなくなるだけだ。現状に満足することなく、貪欲に新しいことに挑戦しつづければ、アイデアはまさに井戸の水のように湧き出し続ける
- 経営は結局は数字がものをいう」と語る。 「夢・ロマンを語ると同様に、会社の力、可能性を具体的な数字として頭にたたき込んでおくこと、これが経営者の第一