【お薦め本の紹介】未来のドリル コロナが見せた日本の弱点

【お薦め本の紹介】未来のドリル コロナが見せた日本の弱点

新型コロナ禍で気を付けないといけないことは、世の中のすべての問題がコロナウイルスが原因と認識してしまうことです。実は大部分は、もともと問題であったことが、新型コロナ禍で表に出たことです。そんな指摘を、河合雅司さんによる『未来のドリル コロナが見せた日本の弱点 未来の年表』では鋭く指摘しています。

  • コロナ禍をきっかけに目の前に現れた変化のほとんどは、新たに起きたことではない。「コロナ前」から日本の弱点であった。
  • コロナ禍が残した最大の爪痕は、少子高齢化とそれに伴う人口減少の悪化
  • 日本がここまで落ちぶれてしまったのか?その理由は、 日本社会の深層にある「老化」 だ。かつてならもっと若い世代が担っていたポジションや役割に、ベテランが就いている例は少なくないだろう。どうしても〝慣れ〟が生じ、発想が硬直化してしまう
  • 私は、コロナ禍にあっての最大の流行語は、「こんなご時世だから……」
  • 政府や地方自治体、企業が考えるべきはむしろ、数少なくなった若者が感染を気にせず活発に活動できるような「安全な場所」を提供するための方策であった。若者の行動を制限することが社会にとって自殺行為であることは分かっているのに、多くの人の理性を失わせるところが「社会の老化」の恐ろしさである─
  • 「社会の老化」を看過できないのは、その先に待ち受けるのが経済的困窮だから
  • 2020年は実際に、女性人口の過半数が 50 歳以上となった
  • 世界では、感染収束後のインフレに対する警戒感が強まっているのだ。 インフレは高齢者に与えるダメージが大きい。
  • 介護事業からの撤退がこのまま進めば、〝介護難民〟 が増える
  • コロナ不況の特徴は、各産業が一律にはダメージを受けなかったことにある。大打撃を受けた企業があった一方で、業績が伸びて過去最高益となった企業が少なくなかった。経済回復の進み方が業界・業種によって極端に分かれ、 二極化が進む「K字経済」が、大都市 と小都市に反映した
  • 目指すべきは人口減少を織り込んだ水準であり、「レの字回復」 がよい。  それには、量的拡大のビジネスモデルから脱却する必要がある。代わりに、高付加価値化と生産性向上を図ることで、少量販売でも利益高をアップさせる「人口減少型ビジネスモデル」へと変わること
  • 収益がそれほど悪化していないにもかかわらず、 コロナ禍に〝便乗〟する形で、「黒字リストラ」を行った企業が結構含まれていた
  • DXも、その前段である「黒字リストラ」も、コロナ禍が新たにもたらしたものではない。ほかの変化と同じく、コロナ禍は背中を押しているだけだが、コロナ禍を契機として急速に広まっていくことだろ
  • 2018年 に厚生労働省が「モデル就業規則」から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という一文を削除した
  • 年功序列や終身雇用といった日本企業の労働慣行に守られ、「働き」の割に高い給与をもらっている社員の存在が、組織全体の士気を下げ、若手社員の意欲を削ぐ結果ともなっている
  • コロナ禍がもたらしたテレワークの普及は、「駅前を開発すれば地域経済が活性化する」という、地方都市開発をめぐる〝過去の常識〟を否定し始めている。
  • 驚くことに、「コロナ前」の2019年 12 月の病床使用率は 62%であり、医療提供体制の逼迫が叫ばれながらも、むしろ低下していた
  • 日本の場合には病院数の 81・6%、病床数の 71・3%を民間病院が占め、その多くは200床未満の小規模病院
  • コロナ禍があぶり出した医療提供体制の脆弱さだが、 日本では医療機関が自由開業制になっているところに根本的な要因
  • 十分な医療体制を整えていない病院が、高度な治療を施す急性期病床を名乗って高い医療費を受け取る「なんちゃって急性期」病床の是正 などといった問題の解消策として、病院間の徹底した役割分担の必要性
  • 少子高齢化がもたらす最大の恐ろしさや弊害とは何だろうか?  それは、総人口に占める若者の割合が小さくなることに伴って、 知らず知らずのうちに社会全体の思考や発想、行動が「守り」に入るようになる ことである。「守り」に入れば、やがて社会全体の活力が損なわれ、国家は衰退の道を歩むこととなる。  コロナ禍は図らずも、そんな「社会の老化」 の実態を浮き彫りにした
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