【お薦め本の紹介】フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか

【お薦め本の紹介】フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか

ロシアのウクライナ侵攻によって、話題になることが増えたフィンランド。そんなフィンランドについて書かれた本です。日本に何が欠けているのがとても理解できます。

  • 80年代のフィンランドは、「北欧の日本」と自称するほど経済成長していたのだが、洋服は古くならない。昔の服やセカンドハンドで買った服を着るのは普通だった。女性も毎日、服を取り替える必要はなく、連日、同じ服でも構わない。消費的ではない反面、住居など生活の基本がしっかりしていた。
  • 第二次世界大戦後は、東西対立の冷戦の文脈で「フィンランド化」と呼ばれる外交政策がとられた。1948年に共産主義の隣国ソ連と「友好協力相互援助条約」を結び、本心では西側の民主主義に共鳴しつつ、軍事大国ソ連の顔色をうかがいながら外交的な綱渡りをしていくことになった
  • フィンランドの教育は無償で強い平等思想を持ち、社会的な格差を減らすことは目的の一つだ。それは、格差を広げる新自由主義に抵抗するものでもあるのだが、世界の教育ランキングという新自由主義的な行為によって評価されたのは皮肉
  • その後、ジェンダーギャップ指数や世界幸福度レポート、デジタル化なども世界のトップに位置づけられるようになった
  • フィンランドでは、人間関係としてパートナーが中心で親子関係より優先される。子どもにとって、それは親から自立し、親の生活圏を離れていく過程になる。成人年齢は1969年に21歳から20歳に、1976年に18歳に下げられた
  • フィンランドで賃金の上昇率は、毎年最低1・8%と決められている
  • 働くことと働く人に対するケアはセットなので、単身赴任という働き方はフィンランドにはない
  • フィンランドは商店やデパートに店員がとても少なく、店員が多い日本と対照的だ。一人ひとりに支払わなければならない福利厚生などの経費が大きいので、多数の店員を置くことができない。被雇用者の権利を重視する結果、店員が少なく顧客への対応に時間がかかる、サービスが悪いということになる。つまり、「お客様は神様」ではなく、従業員の労働の権利の方を大事にするシステム
  • フィンランドで労働は義務ではない。フィンランド憲法が市民の義務としているのは、納税義務と国防義務
  • IDナンバーは日常のありとあらゆる場で必要で、それがなければ何もできないほど
  • フィンランドでは支払いもデジタル化が進んで、現金を持ち歩く人はとても少ない。
  • フィンランドには別姓、同姓、複合姓、創姓の4つの選択肢
  • 学校は、「社会の理不尽さに耐えることを学ぶ場」ではなく、批判的でイノベーティブに考え、政治参加につなげていくことを学ぶ場だった。「学力」をつけるのではなく、いかに学ぶかを学んだ。
  • フィンランド政府が出す教育に関するさまざまな文書を読むと、その一貫性と噓のなさ、志の高さが印象的だ。「どの子どもも、あるがままでかけがえがない」は、教育計画で最初に書かれること
  • メディアは事実を伝えるのではなく「文化を編集」するとしていて、メディアが伝えるものを複眼的に見ることを促している
  • フィンランドでは、小中学校と高校の先生は全員修士を持っている。
  • フィンランドでは、麻酔を使った出産が一般的だ。2019年の経膣出産では、 92・8%で麻酔が使われている
  • フィンランドには「無痛分娩」という言葉はなく、「出産時の痛みのケア」「出産時の医学的な苦痛軽減」「エピドラルを使った出産」のように呼ばれる
  • シングルマザーの場合は、親の休暇を 54日延長することができるので、最長で212日になる。 54 日というのは父性休暇の日数であり、その分が追加され育児を支援するシステム
  • フィンランドの産休や育児に関する政策の背後には、「女性に優しい福祉国家」という考え方
  • 配偶者や親、病人、障がい児などを近親者が介護することは親族ケアと呼ばれ、自治体の審査を経て親族ケア手当を毎月受けることができる
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