専業主夫が30年で3倍!妻に養われる夫が急増する理由

専業主夫が30年で3倍!妻に養われる夫が急増する理由

会社員の妻に扶養される「第3号被保険者」の男性が30年で約3倍になり、2024年度末には13万人を超えました。かつては珍しかった「専業主夫」や「妻が主たる稼ぎ手」という家庭像が、いまや特別なものではなくなりつつあります。この変化は単なる働き方の変化ではありません。家族のあり方、人生設計、さらには社会保障制度そのものの見直しを迫る大きな変化でもあります。今回の記事では、このニュースから見えてくる日本社会の変化について考えてみたいと思います。

目次

1.妻が働き、夫が家庭を支える時代へ

40年近く前、多くの家庭では「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という形が当たり前でした。しかし現在は状況が大きく変わっています。女性の大学進学率は上昇し、医師や弁護士、研究者、企業管理職など高収入の専門職として活躍する女性も珍しくありません。私の外来でも、医師や看護師、薬剤師として第一線で働く女性を数多く見かけます。その結果、夫婦の収入が逆転するケースも増えてきました。

今回の記事では、30代男性の第3号被保険者が10年間で5割も増加したと報じられています。これは単なる失業や病気によるものではありません。

起業準備期間として妻の扶養に入る。
海外留学やワーキングホリデーに挑戦する。
転職活動中に家事や育児を担う。

こうした「人生の選択肢」として第3号を利用する男性が増えているのです。昔であれば「男が養われるなんて」と言われたかもしれません。しかし今は夫婦のどちらが稼ぐかではなく、家族全体としてどう幸せに生きるかを考える時代になっています。価値観の変化を感じるニュースだと思います。

2.「専業主夫」は本当に楽なのか

一方で、「専業主夫」という言葉には誤解もあります。仕事を辞めて家にいると聞くと、楽をしているように感じる人もいるかもしれません。しかし実際にはそう簡単なものではありません。家事は終わりのない仕事です。

掃除、洗濯、買い物、食事の準備。
子育てがあれば送り迎えや学校行事。
親の介護があれば通院付き添いやケアマネとの調整。

特に介護が加わると、フルタイム勤務以上の負担になることも少なくありません。認知症のご家族を介護している男性も増えています。妻が働き、夫が親の介護を担当する家庭も珍しくなくなりました。実際に介護現場では、「会社を辞めて親の介護をしている息子さん」に出会う機会が増えています。

専業主夫の増加は、男性が家庭内の役割を担うようになったことの表れでもあります。家庭を支えることは、決して仕事より価値が低いわけではありません。むしろ高齢化社会では、その役割はますます重要になっていくでしょう。


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3.第3号制度はこのままで良いのか

ただし、今回の記事が指摘するように、第3号被保険者制度そのものには課題があります。本来この制度は、専業主婦が無年金になることを防ぐために作られました。しかし現在は共働き世帯が主流です。第3号被保険者の総数は30年前の半分近くまで減少しました。

その一方で、自営業の家庭では夫婦とも国民年金保険料を支払っています。また、一定の資産や株式配当を持ちながら扶養に入っているケースもあります。こうした状況を見ると、「本当に支援が必要な人を支える制度になっているのか」という議論が出てくるのは自然なことでしょう。

さらに長年問題になっている「年収の壁」もあります。扶養から外れないように働く時間を調整する人がいることは、日本全体で見れば労働力不足を深刻化させる要因にもなります。今後は制度の公平性と働きやすさの両立が大きな課題になると感じています。おそらく今後数年で、第3号制度の見直し議論はさらに活発になるでしょう。

おわりに

「専業主夫30年で3倍」というニュースは、単に男性が増えたという話ではありません。女性が経済的に自立し、夫婦が対等なパートナーとして人生を設計する時代になったことを象徴しています。一方で、その変化に社会保障制度が追いついていない現実も浮かび上がっています。家族の形に正解はありません。

夫が働き、妻が家庭を守る。
妻が働き、夫が家庭を守る。
あるいは二人とも働く。

どの形であっても大切なのは、夫婦が納得して選択していることです。これからの日本は、高齢化と人口減少がさらに進みます。だからこそ固定観念に縛られず、それぞれの家庭が最も幸せになれる形を選べる社会であってほしいと思います。制度もまた、その変化に合わせて進化していく必要があるのではないでしょうか。

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