2階に上げて、はしごを外す

2015-07-01

平成27年4月の介護報酬の改訂は厳しいものでした。特に、小規模なデイサービスや、グループホーム、特別養護老人ホームの減算は驚くほどでした。これらのサービスは比較的収益性が高かったため、多くの事業者が参入していました。まさか、こんな減算を受けるとは予想していなかったと思います。

しかし、長年医療に関わっているものからすると驚くことではありません。これは厚生労働省得意の、『2階に上げてから、はしごを外す』です。例えば、在宅医療に参入する医師が少なければ、そこの点数を高くします。そこで多くの医師が参入すると条件を厳しくして、点数を減らすという方法です。正直、医師たちはこのパターンに慣れているので、美味しい話にはあまり飛びつきません。今回、被害を被ったのは、そのことにあまり慣れていない介護事業者です。これほどの減算幅は想定範囲を超えているため、経営が立ち行かなくなる事業所も出てくると予想されます。

ところで、多くの皆さんは平成27年4月からそれほどの減算があったことを知らないと思います。なぜなら、減算と同時に処遇改善金を上乗せしたからです。処遇改善改善金とは、『支給要件を満たした介護事業者を承認し、承認された事業者に対して、介護職員の賃金改善に充当するための交付金を支給すること等により、介護職員の処遇改善を図る。』です。しかし、これが困ったものなのです。例えば、2ユニットのグループホームなどは、総売上8000万程度で介護報酬を300万強減算して、代わりに処遇改善金が225万程度上乗せされました。厚生労働省は、処遇改善金で補ったと言っていますが、補い切れていません。もちろん、法人としては300万強減収になったことには変わらないのです。本来なら、介護報酬を据え置いて、処遇改善金を上乗せすべきではないでしょうか?


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前回紹介したように、介護事業は規制だらけの収益構造で管理されています。そのうえ、定期的に介護報酬は減らされているのです。多くの介護事業者が2階に誘導され、降りるに降りられなくなっているのが実態かもしれません。

 

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