経営者の方は、借り入れを行う際に何を一番に気にされるでしょうか? 私が知る限りは、多くの方が「金利」を気にされます。実際に、借り入れの質問に対しても、金利を答えられる方が多いのですが、期間を把握していない方も多いようです。今回の記事は資金を借りる時に金利以上に気にするべきことを、医療法人グループの経営者であり、元銀行員の父親を持つ長谷川嘉哉が解説します。
目次
1.金利を気にする経営者は?
実は、私の父親は元銀行員で「金利の事ばかり気にする経営者は、経営が分かっていない」と思って対応をしていたそうです。ならば、金利より重視すべきものは何でしょうか? これの答えは、「借入期間」です。
2.会社は、赤字でつぶれるわけでは無い
お金を借りる立場からすると、借入期間はできるだけ短くしたいのが人情です。「一日でも早く借金は返し終えたい」が本音です。しかし、多くの法人は、赤字ではなくお金が回らなくなって潰れます。常に手元のに余裕を持った資金を持つ必要があります。そのために、借り入れは1年でも長く借りられるようにして、1年内返済額を減らす必要があるのです。
3.リスケは銀行も嫌がる
世の中には、何が起こる変わりません。長く借りて、お金が余って早めに返済することは問題にはなりません。逆に、短く借りて、返せなくなって返済期間を長くすることは「リスケ」といって銀行がとても嫌がります。理由としては、融資先を正常先から破綻懸念先に格付けを下げなければならず、貸倒引当金を積み増す必要が生じることがあるからです。そして担当の銀行員の評価まで下がってしまうのです。
4.新型コロナ融資は断然政策金融公庫融資が有利
現在、多くの企業が新型コロナによる売り上げ減に対して、運転資金を確保しようとしています。その場合、2つの方法があります。政策金融公庫からの融資と、金融機関からの保証協会付き融資です。しかし、この二つには大きな違いがあります。それは、先ほど紹介した借入期間です。
政策金融公庫は運転資金でも15年間借りられるのに対して、金融機関からの保証協会付き融資は最高で10年です。正直、10年では、返済猶予が2年でも8年で返済すると考えると、相当にキャッシュが苦しくなります。対して15年であれば、キャッシュは相当に楽になります。
目先のキャッシュに目を奪われず、まずは政策金融公庫で15年融資が超お薦めです。
5.医療介護業界なら、福祉医療機構(WAM)もお薦め
医療介護業界であれば、福祉医療機構(WAM)もお薦めです。当初は、返済期間が10年でしたが、令和2年5月から運転資金の借入期間が15年になり、政策金融公庫と同じ条件になりました。
6.まとめ
- 経営において、借り入れの際は、金利よりも期間を重視しましょう
- 資金繰りが苦しくなって、借入期間を延ばす「リスケ」を金融機関はとても嫌がります。
- コロナ危機の現在は、運転資金の返済期間が15年の政策金融公庫融資が断然有利です。