歯科医選びは男選び・・歯科衛生士のための職場選びと、選ばれ方

歯科医選びは男選び・・歯科衛生士のための職場選びと、選ばれ方

先日、歯科衛生士さんを目指す学生さんに向けて講演をさせていただきました。毎年、自分の講演を聞いてから、学生さんが就職先を考えるので影響は大です。そこで、歯科医の現状、さらにツキのある歯科医で働くための方法などを伝えさせていただきました。今回の記事では、そんな講演内容をご紹介させていただきます。

目次

1.歯科衛生士の叫び

志をもって歯科衛生士の道を歩んでも、入職してからは以下のような叫びが聞こえます。

  • 半分以上が卒後3年で退職
  • 環境(院長)に問題
  • 福利厚生があいまい
  • 昇給賞与の基準が不明瞭
  • 給与明細が不透明

2.歯科医選択を間違える可能性は95%?

私は、衛生士さん向けのセミナーでは、以下のように伝えています。

2-1.歯科衛生士の選択は良かった

命にかかわるすべての疾患の原因である歯科業界を選択したことは、素晴らしいことです。世の中には、もっと綺麗な仕事がある中で、決して綺麗とはいえない歯科衛生士の道を選んだことに感謝します。

2-2.職場選びは、男選び

しかし、あるベテラン歯科衛生士の言葉を引用すると、「職場選びは男選びと同じぐらい重要です。残念ながら、60歳まで働きたいと思える先生は100人に5名ぐらいしかいないのではないのでしょうか?」とのことです。

2-3.努力より職場選択に時間をかけろ!

つまり、何も考えずに職場を選んでは、失敗する可能性の方が高いのです。その結果、短期間での退職につながってしまうのです。そのため歯科衛生士になるための努力と同等もしくはそれ以上に職場選択に時間をかける必要があるのです。

3.選択される歯科医は5%?

職場選択においては、以下の基準を目安に選択するように指導しました。この基準を満たす歯科クリニックは、ベテラン歯科衛生士さんが言われる5%に限りなく近くなるので不思議なものです。ちなみに、私の講演後に志望先を変更した生徒もいたようです。

3-1.医療法人であること

歯科医の先生からは、反論もあるでしょう。しかし、家計とクリニックの会計が同一である個人立のクリニックは組織とは言えません。その状況に安住している院長は、社会にとっても大切な歯科衛生士に選ばれる器でではありません。ちなみに、歯科クリニックで医療法人化している比率は20%程度です。

3-2.かかりつけ強化診療所(以下か強診)であること

「か強診」であることです。結局のところ、「か強診」は、医科歯科連携とくに在宅医療を推進するものです。そのために厚生労働省も「か強診」を強く推進しているのです。この時代の流れについていけない院長は、社会にとっても大切な歯科衛生士に選ばれる器でではありません。ちなみに、県によって違いはあるようですが、「か強診」を選択している歯科クリニックは15%程度です。

3-3.チェアが5台以上もしくは年商1億円以上

チェアは最低5台以上のクリニックを選ぶように選択しています。このことは、売上が1億円越えとほぼ同じことを意味します。スタッフへの待遇・教育すべての源泉は利益です。そのためには、やはり年商1億円は必須です。ちなみに、年商が1億円以上の歯科クリニックは、5%程度です。


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3-4.歯科衛生士が複数人いるか?

現在、歯科衛生士がいない施設は絶対に選択しないようにアドバイスしました。できれば最低でも3名程度は在籍して、歯科衛生士として組織があり、教育システムがあるクリニックを選択するようにアドバイスしました。

3-5.充実したホームページがあるか

ホームページを見ているのは患者さんだけではありません。これから就職を希望する人も見ているのです。そこに、自らの理念等をしっかり書き込まれていないようでは、大切な歯科衛生士に選ばれるクリニックではありません。

なかには、いまだにホームページもない歯科クリニックがある点は困ったものです。患者さんが受診している歯科クリニックを調べようにも情報がありません。そういったクリニックに限って、治療が終わると終診になってしまいます。我々医師が必要としているのは、定期的なメンテナンスです。そういった歯科クリニックは変更するようにアドバイスしています。

4.勝ち組歯科医は、歯科衛生士を選ぶ

今回の学生向けの講演では、選ばれるに値する歯科クリニックの院長5名もオブザーバーとして参加いただきました。これらの5つのクリニックは、多くの歯科衛生士さんが希望するため、採用するか否かの判断基準についてアドバイスをいただきました。一部を紹介します。

  • 素敵な笑顔
  • 周囲に感謝できる人間性
  • 患者さんに対しての当たり前の配慮
  • 信頼に値する外見・話し方

どこか、曖昧でわかりにくいかもしれませんが、自分は講演をしながら話を聞く態度だけで、自分ならどの子を採用するか判断できました。その話をすると、後ろで聞いていた5人の院長先生は、話を聞く後ろ姿だけで判断できると言っていました。

5.二極分化する歯科業界

結局のところ歯科業界は二極分化するようです。5%の成長するクリニックには、優秀な歯科医、歯科衛生士が集まります。結果として組織化され、結婚退職後も長期に就労が可能になります。そんな施設には良質な患者さんも集まります。このことは、医療従事者だけでなく患者さんの幸福にもつながるのです。

今後も微力ですが、歯科衛生士さんに歯科クリニック選択のための正しい情報を伝えていきたいと思います。ちなみに名古屋の某歯科衛生士さんの専門学校では毎年講演をさせてもらうと同時に、私の提唱する基準を満たさないクリニックには、大切な生徒さんを紹介しないようにアドバイスさせていただきました。

6.まとめ

  • 素晴らしい仕事である歯科衛生士さんの資格をとっても3年以内に退職して、歯科衛生士としての仕事についていないケースも多いようです。
  • 原因としては、歯科衛生士さんに選ばれる器のクリニックが5%程度しかないことも一因です。
  • 5%の歯科クリニックを選択するには、医療法人、「か強診」、チェアが5台以上、複数の歯科衛生士がいる施設を選ぶと間違いが少ないようです。
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